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深夜、顧客企業からクレーム電話! 「大失敗の原因は自分なのに...」無言の先輩、叱られなかったのはなぜか

J-CASTニュース / 2024年6月8日 12時0分

深夜、顧客企業からクレーム電話! 「大失敗の原因は自分なのに...」無言の先輩、叱られなかったのはなぜか

「上司力」を発揮するには

上司の言葉がけひとつで、モチベーションが高まった経験はありませんか?

実際のエピソードや感動的なエピソードを取り上げ、人材育成支援企業FeelWorks代表の前川孝雄さんが「上司力」を発揮するヒントを解説していきます。

今回は、若手社員が失敗から学び、リーダーへと成長することを支えてくれた先輩たちとのエピソードです。

深夜のミス発覚!...若手時代の苦い失敗体験

ITシステム導入・保守サービス事業をグローバル展開する企業に勤務する、30代半ばのMさん。約20人のチームを束ねるITコンサルタント・リーダーとして、チームメンバーからも、顧客企業からも大きな信頼を得て活躍中です。

ところが、そんなMさんも若手の頃は大きな失敗を何度か経験し、先輩に窮地を助けられたことが印象に残っているといいます。また、数年前にチームリーダーに抜擢された時も、しばらくは大ベテランの年上部下に助けられながら、何とか大過に至らず仕事を回せてきたのだとも...。

今回は、Mさんがリーダーへと成長する過程を心強く支えてくれた、2人の「先輩力」に着目します。

Mさんにとって、一番印象に残っている失敗談とは――。

Mさんが新卒のSEとして入社して2年目の、システム開発の仕事にも一通り慣れてきた頃。お得意先だった大手顧客企業から、複数の国の支店に新しく導入する事業用ITシステム開発のプログラミングの一部を任されました。

複数の言語を取り込んだ書類発行システムを開発して、無事納期までに納品。顧客先企業での本格稼働日を迎え、相談の連絡が入ることも想定し、念のため一部チームメンバーが社内で待機していました。すると、夜の9時過ぎに顧客から連絡が入り、何と納品システムにトラブルが発生したとのこと...。

先輩コンサルタントの迅速なフォローのおかげで

当時、Mさんの立場はプログラマーで、顧客先企業とのやり取りの窓口は、チームの先輩でITコンサルタントのKさん。お客様からの問い合わせにKさんが出ると、「海外支店で必要書類をアウトプットしようとしても正常に出てこない。どういうことか?」とのこと。

不具合の原因を調べたところ、設計ミスとテストでの確認漏れ。直接プログラミングとテストにあたったのはMさん。先輩のKさんは、相手方に何度か連絡を取り、ミスの原因を説明し、早期修復を約束しました。そして、KさんはMさんに一言。

「明日の朝、謝罪に行くので、あなたも同行して」(Kさん)
「はい。申し訳ありませんでした!」(Mさん)

Mさんは、頭を下げてそう答えるのが精いっぱいでした。

その後、深夜にかけて急いでプログラム・ミスを修復。翌朝早々、KさんはMさんを連れてお客様のところへ謝罪に向かったのです。

Mさんは、ミスの発覚から、Kさんのお客様とのやり取り、修復作業から謝罪同行に至るまで、自分のミスが悔しく、生きた心地もしませんでした。それでもKさんの迅速な対応で、お客様先でシステムも滞りなく動くようになり、何とか穏便に収まったのです。

一言も叱ってくれない先輩から学んだこと

顧客先から帰社の途中、MさんはあらためてKさんにお詫びを述べましたが、Kさんは怒っている様子もなく、穏やかに「はい」と答えただけでした。Mさんは、内心、Kさんに尋ねようか迷っていました。

「原因は私なのに、Kさんはなぜ私を叱らないのですか?」(Mさん)

一言も叱られないのが不思議でしたし、余計に居心地が悪くもあったからです。でも、その時は、結局最後まで聞けませんでした。

いまはリーダーとなったMさんは、当時を振り返りこう語っています。

「意外なことに、そのミスでKさんから叱られることはありませんでした。ただ、あの日のKさんの素早い行動や言葉のはしばしから、とても大事なことを学びました。

ミスを起こしてしまったら、後は相手への損失をできるだけ早く、最小限に、どうリカバリーするかを考えることが第一だと。また礼節を守り、素早く、しっかり謝りに行くことが、いかに大事かということも。

この時のことで、私が言える立場ではないのですが...犯人探しより遥かに大事なことがある。ミスを起こしたら、上司や同僚の顔色ではなく、お客様のことを第一に見て、考えなきゃいけない。だから、日頃からお客様のために、しっかり責任ある仕事をしなければいけないんだと、後ろ姿で教えてもらったんです」(Mさん)

Mさんは、若手の頃の何度かの手痛い失敗と先輩の助けを通して、仕事の本質を学ぶことができたと話しています。

このエピソードは6月9日公開の<30代上司を「ふつうやりづらい」50代部下が徹底サポートしたのはなぜ 接待ノウハウ、強気の顧客交渉まで指南>に続きます。

(紹介するエピソードは実際にあったものですが、プライバシー等に配慮し一部変更を加えています。)



【筆者プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお):株式会社FeelWorks代表取締役。青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授。人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業のFeelWorks創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。
近著に、『部下全員が活躍する上司力5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)、『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)、『Z世代の早期離職は上司力で激減できる!』(FeelWorks、2024年4月)など。

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