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なぜ「50歳以上の男性」はカスハラをするのか 3万人実態調査で見えた「実態」

J-CASTニュース / 2024年6月8日 16時0分

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記者会見で調査結果について説明するUAゼンセンの松浦勝治・政策政治局長。カスハラを受けた人の割合が減少したのは「世論喚起や企業・労使の取り組みの成果」だとみている

顧客が企業に対して過剰な要求をしたり理不尽なクレームをつけたりして不当な要求を通そうとする「カスタマーハラスメント」(カスハラ)が問題になるなか、流通業やサービス業などの労働組合でつくる産業別組織の「UAゼンセン」は2024年6月5日、3万人以上を対象にした実態調査の結果を公表した。

調査は17年、20年に続いて3回目。依然として2人に1人が被害を訴えているものの、前回調査と比べて被害を訴える人の割合は減少した。「カスハラ」という概念が認知されたり、対応マニュアルの整備が進んだりしたことが背景にあるとみられる。一方、加害者の属性を見ると、7割が男性。年齢別にみると、この4年間で70歳以上の割合が増えている。この世代には啓発が進んでいないことが影響しているとの見方も出ている。

被害受けた人の割合下がったのは「世論喚起や企業・労使の取り組みの成果」

調査はUAゼンセン所属の組合員を対象に1月18日から3月18日にかけて行われ、210組合から3万3133件の回答があった。

「あなたは直近2年以内で迷惑行為被害にあったことがありますか」という問いに対して、20年は56.7%が「あった」と答えていたのに対して、24年は46.8%に9.9ポイント減少した。松浦勝治・政策政治局長は、この結果を

「世論喚起や企業・労使の取り組みの成果があるのではないか」

とみる。

カスハラの内容はどうか。「最も印象に残っている顧客からの迷惑行為」を聞いたところ、「暴言」(39.8%)が最も多く、「威嚇・脅迫」(14.7%)、「何回も同じ内容を繰り返すクレーム」(13.8%)が続いた。カスハラのきっかけは「顧客の不満のはけ口・嫌がらせ」(26.7%)、「接客やサービス提供のミス」(19.3%)の順に多く、その次に多かったのが「わからない」(17.3%)だった。

「迷惑行為をしていた顧客の性別」は男性70.6%、女性27.1%と、男性が圧倒的に多い。「迷惑行為をしていた顧客の推定年齢」は、下から10歳代0.1%、20歳代1.8%、30歳代6.8%、40歳代15.6%、50歳代27.2%、60歳代29.4%、70歳代以上19.1%。60歳代以上が48.5%と半分近くを占め、これに50歳代を合わせると75.7%で、実に4分の3を超える。

20年調査では10歳代0.2%、20歳代2.0%、30歳代8.6%、40歳代18.9%、50歳代30.8%、60歳代28.0%、70歳代以上11.5%。この4年で40歳代の減少と70歳代以上の増加が目立つ。

「カスハラ」の言葉知らない人も「まだまだこの世代には多いのでは」

一方、佐藤宏太・流通部門執行役員は、男性や50代以上が多い理由について

「この世代の方たちは『自分が苦労した(と考えている)』という人が多いととらえている。『自分たちはここまで一生懸命仕事して、ここまで顧客に対してサービスをしてきた』。
その方たちの求めるサービスよりも下の場合は、それが納得いかない気持ちになる」

などと分析。さらに、

「ご自身は、もしかしたら『教えてあげている』とか『自分のクレームは相手のためになっているんだ』といった風にとらえているかもしれないが、やはりそれがカスタマーハラスメントに分類されるようになってきている」

とも指摘した。

さらに、高齢者の加害者が多い問題については、「これは推測ではあるのだが......」と断った上で、

「やはりメディアに触れる機会が少ないというのも、課題としてはあるのかもしれない。カスタマーハラスメントという言葉自体を知らない方も、まだまだこの世代には多いのではないか」

などと話した。

カスハラ対策をめぐっては、厚生労働省が労働施策総合推進法(パワハラ防止法)を改正し、カスハラから従業員を守る対策を企業に対して義務付ける方向で検討している。東京都は、カスハラの禁止をうたう条例の制定を目指している。

UAゼンセンとしては、従業員が働きやすい環境づくりが「法的な根拠が後押しになる」として、被害防止のための対策を義務付ける法制化を求めていく考えだ。

(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)

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