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高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 本気の刷新ならプラスチック製だが......最後の「本格新紙幣」とキャッシュレス化の関係

J-CASTニュース / 2024年6月13日 17時0分

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 本気の刷新ならプラスチック製だが......最後の「本格新紙幣」とキャッシュレス化の関係

2024年7月から新紙幣がお目見えする(写真:Stanislav Kogiku/アフロ)

2024年7月から紙幣が刷新される。万が一、偽造されたお金が広く出回るとお金の信用がなくなり健全な取引に支障が出て、国民経済からみるとマイナスである。そうしたことを防ぐため、紙幣については、これまでも概ね20年毎に改刷(紙幣の偽造防止技術やデザインを新しくすること)を行ってきている。

今回が「最後の本格的な新紙幣」になると予想

今回の新紙幣に伴い、金融機関のオープン出納システムやATM、自動販売機などの特需を期待する向きもある。

しかし、今回の新紙幣では紙幣の寸法の変更は前回同様にない。このため、ハード面の更新需要は限定されることが予想され、ソフトウェアの更新需要が中心だ。そして、財務省が新紙幣刷新発表直後の19年4月10日に衆院財務金融委員会で示した日本自動販売システム機械工業会の試算によれば、今回の新紙幣による現金取り扱い機器の改修特需として約7700億円と見込んでいる。ただし、これまで20年程度も紙幣改刷がなかったことを考えると、1年あたりにすれば大きな数字でない。

もし本格的に改修するとすれば、今の紙幣を「プラスチック」にしただろう。今回の改修はかなりマイナーなものだ。というのは、最近の自販機では、現金管理コストなどを考えるとキャッシュレスのほうが合理的であり、電子マネーだけのものも少なくない。今回の紙幣改刷で少ないコストをかけて、ATMの縮小や自販機などのキャッシュレス化を進めるのだろう。筆者は、今回は最後の本格的な新紙幣になるだろうと思っている。

立派な新紙幣を作ってしまうとキャッシュレス化が遅れる

日本は世界の中でも取引決済における現金比率が高い。先進国では、40?60%程度であるが、日本は最近ようやく40%に達したところだ。なぜ日本では現金決済が多いかといえば、習慣化しているからにほかならないが、その本質的理由は高額紙幣が信頼されており、使用されてきたからだ。

世界では高額紙幣はあてにならず、それがキャッシュレス化の原動力になっている。今、日本で立派な新紙幣を作ったら、かえってキャッシュレスが遅れてしまうだろう。そうなったら、世界の流れに追いつきつつあるのに、元の木阿弥になってしまう。今回は、キャッシュレス化を妨げないように、いずれ滅びゆく「新紙幣」という、かなり微妙なものなのだ。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。


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