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ガザ安保理決議 停戦要求は国際社会の総意だ

読売新聞 / 2024年6月14日 5時0分

 パレスチナ自治区ガザでの速やかな停戦を求めることで、国連安全保障理事会が一致して決議を採択した意味は重い。

 紛争当事者は国際社会の総意を受け入れ、軍事行動を直ちに中止すべきだ。

 安保理の決議は、イスラエルとイスラム主義組織ハマスに対し、ガザでの戦闘を巡り米国が示した停戦案をただちに履行するよう求める内容である。

 採決では、15理事国のうち中国を含む14か国が賛成した。米国と対立する中国が賛成したことや、ロシアも拒否権を発動せず棄権に回ったことは画期的と言える。

 子供や女性ら多数の民間人に犠牲が及ぶ惨状は放置できないとの認識を、中露を含め国際社会全体が共有したことを意味する。

 停戦案は、〈1〉即時停戦〈2〉全ての人質解放や恒久的な敵対行為の停止〈3〉ガザの再建――の3段階からなる。しかし、イスラエルは戦闘をやめず、ハマスは停戦案の修正を求めている。

 8か月に及ぶ紛争で、イスラエル軍の攻撃によるガザの死者は、3万7000人を超えた。ハマスによる越境攻撃が引き金となったとはいえ、イスラエルの反撃は、自衛権の範囲をはるかに超え、到底容認できない。

 決議案の内容に不十分な点があったとしても、まずは即時停戦の実現を優先し、人道危機に歯止めをかけなければならない。

 看過できないのは、安保理での決議採択を前に、イスラエル軍がガザ中部で4人の人質を救出するために決行した軍事作戦で、多数の子供を含む270人以上の住民を死亡させたことだ。人命軽視とのそしりは免れない。

 イスラエルのネタニヤフ首相に対しては、国際社会に加え、国内でも批判の声が強まっている。

 野党を率いる穏健派のガンツ前国防相は、ネタニヤフ氏が、ガザでの戦闘終結後の統治計画を示していないことを理由に、戦時内閣から離脱した。

 ネタニヤフ氏は政権維持のため、連立政権に加わる極右政党への傾斜を強めている。極右勢力への配慮から、イスラエルが、米国やエジプトなどが仲介する停戦交渉で態度を硬化させ、和平の機運が一層遠のく事態を懸念する。

 米国のバイデン大統領は、イスラエルが軍事行動を拡大すれば、武器支援を停止すると繰り返し警告してきた。イスラエル側が強硬な姿勢を改めなければ、実際に支援を見直すことも視野に、働きかけを一層強める必要がある。

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