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中学校の給食費無償化巡り沖縄県が「迷走」…無償化導入自治体に半額補助案、「全市町村」に転換

読売新聞 / 2024年6月14日 10時52分

 「子どもの貧困」が社会問題となっている沖縄県が、中学校の給食費無償化を巡って「迷走」している。玉城デニー知事は当初、無償化の導入自治体に半額補助する制度案を発表したが、一部の首長から「市町村間の格差を生む」との反発を受け、対象を全市町村に広げる方針に転換した。県議選(16日投開票)告示直前に玉城氏が打ち出し、知事派候補の支持狙いとの批判も上がっており、自ら「火消し」を図った格好だ。(横山潤、池園昌隆)

 玉城氏は5月24日、無償化した市町村に対し、県が負担額の2分の1を補助する支援事業を来年度から実施すると発表した。物価高騰による家計負担増などを背景に、無償化に踏み切る市町村は増えているが、都道府県が無償化の支援に乗り出す例はまだ少ない。

 県内では41市町村のうち17市町村が小中学校で無償化しているが、18市町村は一部助成、6町村は助成なしと格差が生じている。

 玉城氏は無償化拡充に向け、導入市町村にのみ補助する制度としたが、財政が厳しい市町村には負担が重く、県市長会(11市)が「取り残される自治体がある」「事前に相談もないのは問題」と反発。全額県費による無償化を求める決議文をまとめ、県議選告示前日の今月6日に県庁に乗り込み、玉城氏に手渡した。

 選挙戦では知事派候補とともに、応援演説に立った玉城氏も制度の実現を繰り返し呼びかけた。給食費無償化は多くの県民が望んでおり、過半数を争う反知事派候補らは「選挙対策だ」と批判を強めた。

 こうした中、県教育庁は13日、「市町村長の意見、要望を踏まえた結果」として、無償化導入にかかわらず、全市町村の給食費を半額補助する方針を示した。約10億円を見込む財源は今後検討し、補助金の使途は給食費関連事業に充てることを前提に市町村に委ねる。食材費も上がっていることから、給食費の値上げ分や食材の質の維持に使われるケースも想定され、保護者の負担ゼロや軽減につながるかどうかは不透明だ。

 県民所得が全国最低水準の沖縄では、2015年度の調査で標準的な所得の半分以下の世帯で暮らす子どもの割合(貧困率)が約30%と全国の約2倍に上っており、給食費を含む対策が急務となっている。

 那覇市を拠点に長年、子ども食堂などの支援活動を行うNPO法人「困窮者支援ネットワーク」の細田光雄代表理事(69)は「政治的な立場を超えて、全ての子どもに等しく支援が行き渡るような最善の制度にしてほしい」と要望した。

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