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国債購入減額 日銀は政策の正常化を着実に

読売新聞 / 2024年6月15日 5時0分

 日本銀行が異例の金融緩和策を改めて、正常化を進めていくことは大切だ。市場の動揺を招かないように、綿密に計画を練ってほしい。

 日銀は現在、月6兆円程度を目安に国債を購入しているが、14日の金融政策決定会合では、この国債の買い入れ額を減らす方針を決めた。今後、1〜2年程度にわたる具体的な減額計画は、次回7月の会合で策定することにした。

 日銀は今年3月、大規模な金融緩和策を終了し、それまでのマイナス金利政策を解除した。今回、さらに保有国債も段階的に縮小する「量的引き締め」へと かじを切り、政策の正常化を前進させる。

 国債市場が健全に機能するためには、民間の金融機関などが買い入れの主体となることが望ましい。日銀が、国債の買い入れ額を減らすのは妥当である。

 日銀の政策転換後、長期金利は5月に1・1%まで上昇し、約13年ぶりの水準となった。

 今回の決定会合の直後には、1ドル=158円台まで円安が進んだが、相応の規模とする国債の減額計画が具体化すれば、過度な円安・ドル高に一定の歯止めをかける効果もあるのではないか。

 日銀は、景気刺激策として2001年に金融の量的緩和政策を始めた。06年に解除したが、後に再び国債を買い入れて市場に資金を供給する措置を取り、13年に買い入れ額を大幅に増やした。

 日銀が保有する国債の残高は600兆円弱に上り、発行額全体の5割超を占める。長期金利を抑え込む効果は上げたが、その一方で、国の財政規律を弱めたとの指摘もある。適切な水準へ減らすには時間を要するだろう。

 日銀は今回、政策金利を0〜0・1%程度に据え置いた。2%の物価安定目標の実現に向け、低金利を継続して、景気を下支えする必要があると判断した。

 他方、米連邦準備制度理事会(FRB)は、7会合連続で政策金利を5・25〜5・50%という高水準に据え置き、年内の利下げ回数の見通しも3回から1回へと減らした。日米の金利差は依然大きく、円安圧力は強いままだ。

 日本経済は物価高に賃上げが追い付かず、物価変動を反映した実質賃金は2年以上もマイナスだ。円安が輸入物価の上昇を招き、物価を押し上げれば、さらに消費が落ち込むリスクがある。

 植田和男総裁は「最近の円安の動きは物価の上振れ要因だ」と指摘した。為替市場にも目配りした政策を心がけてもらいたい。

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