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東京都知事選挙の掲示板すでに「満杯」…継ぎ足すスペース確保、職員「間に合わない」悲鳴も

読売新聞 / 2024年6月15日 15時28分

 今月20日に告示を迎える東京都知事選(7月7日投開票)は、立候補者が過去最多だった前回2020年の22人を大幅に上回ると見込まれている。各地の選挙管理委員会は候補者の選挙ポスターを貼る掲示板の設置を進めているが、担当者はポスターを貼るスペースが不足しないかと気をもんでいる。(神園真由美)

「職員も手分け」

 都内最多の有権者約77万人を抱える世田谷区では10日から、区内897か所でポスター掲示板を据え付ける作業が行われている。作業は告示3日前の17日に完了する予定だが、区選管の担当者の表情はさえない。

 掲示板は縦3列、横16列の枠があり、48枚までポスターを貼ることができる。一方、立候補に必要な書類を確認する都選管の事前審査を終えた人は13日時点で48人。全員が立候補するとは限らないが、告示日に向けて事前審査を受ける人はさらに増える見通しで、掲示板はすでに「満杯」だ。

 候補者が想定の48人を超えれば、枠を確保するため、掲示板を継ぎ足す必要がある。区選管ではあらかじめ、掲示板の下部に継ぎ足せる分のスペースを確保しており、いざという時に備え、設置業者と増設に向けた打ち合わせを始めている。

 ただ告示まで1週間を切り、職員からは「安価で大量に入手しやすいプラスチック板を購入し、職員も手分けして備え付けないと間に合わない」と悲痛な声も聞かれる。区選管事務局の織田健一次長は「掲示板は公平な選挙活動に必須だ。48人を超える事態になっても、候補者の考えが有権者に伝わるように一刻も早く作業を完了させる」と話す。

費用膨らむ

 候補者の氏名や写真が載る選挙ポスターは、有権者が投票先を決める判断材料となる。公職選挙法は、国政選と知事選で選挙ポスター掲示板を設けることを区市町村選管に義務づけている。都知事選を管理する都選管は昨年秋頃、前回選と同じ30人分のポスターが貼れる掲示板を計約1万4200か所に設置するよう都内の各区市町村選管に指示した。

 今年春には、立候補者が大幅に増えると見込まれることから、48人分に拡大するよう指示を改めた。設置数が528か所に上る杉並区は当初、設置費用を約2800万円と見積もっていたが、掲示板の大型化に伴い、約3300万円に増額した。区選管の担当者は「さらに継ぎ足すことになれば、いくらまで費用が膨らむのだろうか」と不安を隠せない。

 ほかの自治体と異なる大きさの掲示板を設置すると選挙の公平性を担保できなくなる恐れがあり、区市町村選管が独自の判断で、スペースを広げることは難しいという。ある選管からは「早めに掲示板を増設したいから、都選管から指示が出るといいのだが……」との恨み節も聞こえる。都選管は取材に「状況を見ながら対応したい。現時点では何も決まっていない」と答えるにとどまる。

立候補突出

 都知事選は1947年以降、2020年までに21回行われた。立候補者数の平均は12・3人で、最少だったのは、石原慎太郎氏が再選した2003年の5人。12年以降は右肩上がりに増え続け、小池百合子氏が初当選した16年は21人、前回20年は22人が立候補し、2回連続で過去最多を更新した。

 東京都に次ぐ770万人の有権者を擁する神奈川県は1947年以降、県知事選が20回実施され、立候補者数の平均は3・4人で、最多が03年の7人だった。大阪府知事選の候補者数は平均4・1人で、最多が1975年と99年の9人だった。一騎打ちは神奈川県で6回、大阪府で5回あったが、東京都はなし。都知事選の候補者数が突出して多いことがわかる。

 都政に詳しい元都副知事の青山●・明治大名誉教授は、都知事選の候補者が増えている理由について、石原氏が2012年に任期途中で知事を辞職し、都知事選が統一地方選から外れたことを挙げる。「有権者約1100万人の首都・東京のトップを選ぶ都知事選は、他の知事選と比較にならないほど注目度が高い。何百もの自治体が一斉に選挙を行う統一地方選から外れ、単独で行われるようになってから、さらに関心が集まるようになった」と分析する。

 (●は人偏に「月」の上に「八」)

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