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中国企業ロゴ 懇談会の行き過ぎが気になる

読売新聞 / 2024年6月16日 5時0分

 日本のエネルギー政策に関する内閣府の懇談会で、中国企業のロゴマーク入りの資料が見つかった問題は、資料を提出した有識者のケアレスミスが原因だったとされている。

 とはいえ、中国の意向で日本のエネルギー政策が ゆがめられているのではないか、といった疑念を与えてしまったことは問題だ。軽率との批判は免れまい。

 中国企業のロゴは、河野行政・規制改革相が2020年、自らの私的懇談会として設置した「再生可能エネルギーに関する規制等の総点検タスクフォース」の、委員の提出資料に表示されていた。

 政府の調査報告によると、太陽光や風力発電の普及を目指している自然エネルギー財団の職員である委員は、16年に韓国で行われた財団主催の国際会議で、中国の国営電力会社「国家電網公司」から電子データを受け取った。

 このデータは、アジア全域を太陽光などの送電網で結ぶ中国の構想に関するものだった。データには国家電網公司のロゴが入っていたが、委員はデータ部分を日本の再エネ推進向けの内容などに差し替え、懇談会に提出していた。

 委員はロゴに気づかなかったというが、批判を受けて辞任した。政府は一連の問題について、「中国からの不当な影響力は確認されなかった」と結論付けた。

 だが、懇談会の運営に何ら問題がなかった、とは言えない。

 この懇談会は、電気自動車(EV)の充電設備を全国に整備する計画の策定を経済産業省に要求するなど、再エネの利用拡大を繰り返し政府に求めてきた。

 私的懇談会のあり方などを定めた政府の指針は、「法令に基づく審議会等とは異なり、あくまでも行政運営上の意見交換、懇談の場」と定めている。

 政府に様々な要求を突きつけてきた河野氏の私的懇談会の活動は、この指針を逸脱していたと言わざるを得ない。林官房長官から注意を受けた河野氏が、その後、懇談会を廃止したのは当然だ。

 そもそも内閣府や内閣府の特命担当大臣には、各省庁の政策を調整し、まとめる役割がある。

 河野氏が、一議員として再エネの推進にこだわるのは自由だが、特命担当大臣である以上、その責務の重さと影響力の大きさを忘れてはならない。

 エネルギーの安定供給は国の根幹に関わる重要な課題だ。安定供給と脱炭素を両立させるには、原子力発電所の再稼働と再エネの普及を同時に進める必要がある。

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