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赤潮発生をディープラーニングで「ほぼ100%精度予測」…高専生開発の漁業支援アプリ「4億円」評価

読売新聞 / 2024年6月19日 8時38分

漁業者を支援するアプリを開発した(左から)金地さん、土井さん、斉藤さん(高松市で)

 人手不足や高齢化が進む漁業の現場を支援しようと、香川高専の学生たちが開発したアプリが、全国の高専生が技術力を競うコンテストで2位に輝いた。人工知能(AI)を活用して、赤潮の発生を予測したり、効率的な航路を示したりする機能を備える。将来的に企業との連携による実用化も見据えている。(尾崎達哉)

 手がけたのは、同高専の創造工学専攻2年の金地琳太郎さん(22)ら7人のチーム。アプリ「Seaサポ」は漁業者や海運業者ら向けで、▽1週間後までの赤潮の発生予測▽潮流を予測し、燃料のロスが少ない航路の提示▽いけすへの人や船の侵入検知▽いけす内の水温や酸素濃度の観測――など七つの機能がある。

 チームはコンテストを目指して、昨年8月から村上幸一准教授の指導のもと、開発に着手した。

 金地さんは、赤潮の発生予測を担当した。過去23年分の 燧灘 (ひうちなだ)の水温、酸素濃度などのデータをもとに、赤潮が起こりやすい傾向を分析し、AIに「ディープラーニング」(深層学習)させることで「ほぼ100%の精度で予測できるようになった」という。成功まで5か月間の試行錯誤が続き、「苦しかったが、なんとか完成してホッとした」と話す。

 メンバーは現場のニーズを探ろうと、漁業者らへの聞き取りも実施。その意見を反映させ、アプリの機能を追加していった。

 電気情報工学科4年、斉藤壮志さん(19)は現場の声を受けて、離れた場所でも、いけす内の水温や酸素濃度を確認できるシステムを開発した。実験に協力する直島沖のいけすにセンサーやコンピューターを設置し、クラウド技術も活用して、観測する仕組みを作り上げた。

 しかし、今年2月には雨で機器が水没し、観測が途絶えたこともあったといい、「設計が甘く、自然環境をなめていた。必死に朝から夜まで取り組み、動いたときは安心した」と振り返る。

 今年5月に開催された「第5回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2024」で2位に輝いた。技術力や機能、ビジネスとして成立するかが審査のポイントだった。アプリは「地域課題の解消にチャレンジしている」として、審査員の投資家3人から最高4億円の評価額があるとされた。

 操作画面の設計などを担当した電気情報工学科4年、土井大地さん(19)は「高額の評価を受け、自信になった。高齢化や海上で操作することも考慮して、操作しやすいデザインにした。将来、困っている人たちの役に立ってほしい」と話す。

 現状、使用しているデータの商業利用ができないためアプリの提供は行っていない。村上准教授は「全国の海で活用できるよう開発を進め、実用化を検討していきたい」としている。

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