1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

巨大IT新法 体制拡充し不公正な取引防げ

読売新聞 / 2024年6月19日 5時0分

 巨大IT企業による寡占の弊害は大きくなる一方だ。政府は、新法を担う人員や体制を拡充し、不公正な競争環境の是正を急いでもらいたい。

 巨大ITを規制する新法「スマホソフトウェア競争促進法」が、国会で成立した。2021年に巨大ITに取引条件などの情報開示を義務づける法律が施行されており、それに続く規制強化となる。25年末までの施行を目指す。

 スマートフォンを動かす基本ソフト(OS)や、ゲームなどを提供する「アプリストア」の市場は、アップルとグーグルの米2社が寡占を続けている。

 このため、アプリを販売する他の企業は2社のルールに従わざるを得ず、高額な手数料の支払いも拒めない状況に置かれている。

 新法は、米2社を念頭に、アプリストアの他社への開放などを義務づける。アプリ市場への新規参入が増えれば、消費者の選択肢が広がり、より安価にアプリが提供される効果が期待できよう。

 新法では、検索での自社サービスの優先表示なども禁じる。禁止行為を明示することで、巨大ITと取引する企業は、問題点を訴えやすくなるだろう。政府は、積極的に意見を聴取し、不公正な取引を是正するべきだ。

 今後の課題は、新法の執行体制を強化していくことである。

 現行の独占禁止法は、違反を事後的に取り締まるのが基本で、摘発に数年かかることが多い。

 これに対し、新法は、禁止される行為をあらかじめ示した上で、違反に対処する「事前規制」型だ。これにより摘発のスピードの向上が期待される。

 既に事前規制型に かじを切ったのが欧州連合(EU)である。今年3月に「デジタル市場法」の適用を始め、100人規模で監視と調査にあたっている。

 だが、日本の公正取引委員会で新法に携わる人員は現在、14人にとどまり、欧州に大きく見劣りしているのが実情だ。

 巨大ITが行うビジネスは変化のスピードが速い上に、消費者に無料で提供するサービスが多く、寡占の弊害を把握しにくい。

 禁止行為を突き止めるには、デジタル分野に精通した外部の人材が不可欠になる。公取委は、データ分析やセキュリティーの専門家の採用を進めて、市場の実態を把握することが重要だ。

 巨大ITは国際的に事業を展開している。日本政府は欧米との情報交換で課題を共有し、巨大ITに対処していかねばならない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください