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「茨城のゴールドコースト」、砂浜消失で今夏の海水浴場を中止…岩が突き出し「安全な状況ではない」

読売新聞 / 2024年6月19日 6時30分

 茨城県鉾田市は18日、今夏の大竹海岸鉾田海水浴場の開設中止を決めたと発表した。コロナ禍以外の理由での中止は初めて。波による砂浜の浸食が激しく、護岸が破壊されたり傾いたりしたことで、利用客の安全性が確保できないと判断した。鹿島灘では海岸の浸食が進んでおり、海岸を管理する県ではT字形の人工岬「ヘッドランド」の整備や土砂の供給を続けてきたが、根本的な解決に至っていない。

護岸の基礎も破壊

 同海水浴場は、約1キロにわたり広がる砂浜から見渡せる壮大な景観が魅力。遠浅で高い波も立つことから、「茨城のゴールドコースト」の愛称でサーファーからも人気がある。県によると、昨夏は県内で開設された14の公設海水浴場のうち、5番目に多い約2万5000人が訪れた。

 市によると、中止の要因は砂浜の消失。今年は特に浸食が激しく、護岸の基礎部分が壊れたり、砂浜に岩が突き出したりして、「子連れなど、とても安全に海水浴できる状況ではない」(市職員)という。

 18日に開かれた市議会経済建設常任委員会での市側の説明では、近隣住民から4月下旬に「海岸浸食がひどく危険だ」と市へ連絡があったため、翌月、県に対し、修復や砂浜回復の対策を検討するよう求めた要望書を提出した。その後、市では一部での開設も検討したが、安全面への懸念から断念したという。

開発で砂の流入減

 県によると、鹿島灘では北は那珂川、南は利根川から流入した土砂が波に乗って一帯に運ばれることで砂浜が保たれていた。しかし、港など沿岸開発の影響で砂が南北に運ばれなくなり、川から供給される土砂も減って、1970年代以降から砂浜の浸食が深刻化。一方、茨城港の大洗港区や鹿島港近くには砂が 堆積 たいせきした。85年度から県がヘッドランド整備や、土砂を累積する場所から浸食された場所に投入(養浜)する対策を続けるが、大竹海岸以外でも一部では砂浜が失われ続けているという。

人工岬の効果は一時的

 茨城大の横木裕宗教授(海岸工学)は「ヘッドランドの効果は一時的で、長期的には砂浜はやせていく」と指摘。その上で、「川からの流入も期待できず、養浜を続けるしかない一方、砂をどこからどこへ運ぶべきか事例研究は少ない。効果的に養浜をするため、県は海岸を定期的に観測して公表することも検討すべきだ」と話した。

 岸田一夫市長は18日、取材に対し、「自然豊かな鉾田の観光資源なので、中止は苦渋の決断。砂の投入など県へ要望を続け、砂浜を取り戻したい」と話した。

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