性犯罪がない人への対策・ストーカーなど範囲の拡大、子どもの安全へ「ここからがスタート」…日本版DBS
読売新聞 / 2024年6月19日 21時43分
子どもと接する職場で働く人の性犯罪歴を確認する「日本版DBS」創設を盛り込んだ「こども性暴力防止法」が19日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。2026年度をめどに施行される。子どもを性被害から守る方策として期待される一方、確認対象の性犯罪が限定されるなど、今後、検討すべき課題は多い。
同法は、学校や保育所のほか、国が認定した学習塾などに対し、就労を希望する人の性犯罪歴の確認を義務づける。
対象となる性犯罪は、不同意わいせつ罪など刑法犯のほか、痴漢や盗撮といった自治体の条例違反。照会期間は拘禁刑(懲役と禁錮両刑を2025年に一元化)が刑を終えてから20年、罰金刑以下は10年とした。
性犯罪歴のある人は、刑の終了から最長20年、子どもと接する仕事に就けないなど、実質的に就労が制限される。現職者も確認の対象となり、犯歴があれば、事業者は子どもと接しない業務への配置転換などを講じなくてはならない。
だが、性犯罪の9割は初犯が占める。そのため、同法では、犯歴がない人でも、子どもや保護者からの訴えで、性加害の「おそれ」があると認められれば、事業者は配置転換をしなければならない。こども家庭庁は今後
国会の審議では、対象とする性犯罪の範囲を下着窃盗やストーカー行為などにも拡大することの検討を求める付帯決議が衆参両院の委員会で採択された。同庁は施行後3年をめどに制度を見直す。
17年から日本版DBSの必要性を訴えてきた認定NPO法人「フローレンス」(東京)の駒崎弘樹会長は、参議院の傍聴席で成立を見届けた。駒崎会長は「本当に感無量」と喜ぶ一方、「事業者向けの研修体制の構築や、子どものトラウマケアの充実など、検討すべき課題は多い。ここからがスタートだ」と語った。
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