突然の監督辞任から8か月、箱根路目指す立教大の現在地…高林祐介新監督は「対話重視」
読売新聞 / 2024年6月21日 10時0分
昨年の箱根駅伝予選会直前、監督辞任のハプニングに見舞われた立大。その古豪に4月、高林祐介監督(36)が就任した。強豪駒大のコーチから転身し、再建を託された新指揮官の下、チームは順調に走り出した。(編集委員 近藤雄二)
関東インカレ、1500mとハーフで好成績
新生立大がさっそく存在感を示したのが、5月の関東学生対校選手権(関東インカレ)だった。
男子2部の1500メートルで青木龍翔(2年)が優勝し、大塚直哉(3年)が4位入賞。ハーフマラソンで稲塚大祐(4年)が5位入賞を果たし、3000メートル障害でも中田紫音(4年)が5位に食い込む活躍を見せた。
「今回一番結果を出してほしかったのが、1500メートルとハーフ。まさに狙い通りの結果になりました」と高林新監督。高校総体3位の実績を持つ青木とは本人とも話し合い、頂点を狙った結果の優勝。ハーフの出場選手には駒大レベルの練習メニューを課し、稲塚の5位に続き、中西洸貴(4年)も12位と健闘した。
青学大、駒大、国学院大などのライバルを相手に優勝者を出し、箱根と同等の距離を走るハーフで上位入賞。「箱根を見据え、これだけやれば強くなれるんだと、チームに自信を与えてほしかった」という指揮官の思惑通りの成果だった。
駒大コーチから転身、「大八木」流を研究
4月の就任当初、高林監督は不安の方が大きかったという。チームの第一印象は「甘い」。昨秋から続く指導者不在の中、部は最上級生を中心に学生主体で運営されてきたが、練習内容は「強豪校の5、6割」だった。「シード権獲得とか上を目指すとか言いながら、それに行動が伴っていなかった」。そんな思いを学生たちにも伝えたが、反応が鈍い。厳しい言葉を投げかけても響かないとみた指揮官は、じっくり一人一人の話を聞くことにした。
駒大時代に箱根優勝を経験した高林監督は、トヨタ自動車で全日本実業団対抗駅伝初優勝に貢献。2016年に引退後は陸上を離れ、人事関係の仕事をこなした。22年に駒大コーチに就くと、早大大学院でリーダーシップ論を学び、恩師である駒大の大八木弘明総監督の指導について、教え子約200人にアンケートを取って修士論文にまとめた。
「結論としては、29年間の指導の中で、カリスマ的なリーダーシップを発揮し続けていた。一方、時代に応じ、相手に合わせ、指導方法を変えていた。変えるべきものと、変えるべきではないものをうまく織り交ぜ、リーダーシップを発揮し続けたということです」
完成されたチームの駒大に対し、指導体制としてはゼロから出発する立大。駒大での指導を通じ、箱根に不可欠な練習の質や量はわかっているが、まずは自主性を高めてきた学生たちを尊重し、指揮官が寄り添うことが必要と判断した。
「一人一人と話し合い、各自に合うやり方を探していこうと。そして、何をすべきか自分で考え、決めたことは、しっかり積み重ねてほしいと伝えました」
そんな対話を経て、練習量は着実に増えた。そして、1か月ほどの積み重ねで迎えた関東インカレで確かな実績を残せたことは、チームの大きな推進力になった。
目標は箱根シード権、主将が宣言
関東インカレ期間中の5月11日、都内で開かれた立教学院創立150周年記念祝賀会で、次なる箱根駅伝での目標を、10位以内に与えられる「シード権獲得」とすることが発表された。
その席で安藤圭佑主将(4年)は「高林監督が就任してチームも強力になったと感じる。その証拠に関東インカレでチームメートが優勝した。箱根駅伝シード権獲得と全日本大学駅伝出場を必ず成し遂げたい」と力強く宣言した。
祝賀会では、大学OBの長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督の「箱根駅伝も毎年、楽しみに観戦しています。立教大学が創立150年を新たな出発点として箱根駅伝でも活躍してください」とのメッセージを、同じくOBのフリーアナウンサー徳光和夫さんが読み上げた。
「大八木さんのような、選手たちの夢をかなえ、可能性を広げられる指導者になりたい。そのために選手たちに寄り添って、伴走していきたい」と高林監督。レジェンド指導者をみっちり研究した新指揮官が、対話の中から、どんな成長曲線を導くか。強豪駒大のDNAを受け継いだ古豪の、新たな1年に注目したい。
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