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スクール水着、肌や体形の露出抑える男女共用型広がる…教員「多様な性に配慮」「生徒参加しやすい」

読売新聞 / 2024年6月21日 16時0分

 学校で水泳の授業が行われる季節になった。最近は肌の露出を抑え、体のラインが出にくい男女共用のスクール水着を採用する学校が増えている。肌や体形を見られることへの抵抗感を和らげ、前向きに授業に参加してもらう狙いがある。(矢子奈穂、岩島佑希)

日焼けが嫌

 「小学校の水着は、肩がむき出しで嫌だった。苦手な水泳も、これなら他人の目を気にせず頑張れそう」。東京都豊島区の西池袋中1年の生徒(13)は来週から始まる水泳の授業を前に、笑顔で話した。

 同校が今年度から取り入れたのが「ジェンダーレス水着」。男女とも同じデザインで、長袖の上着とハーフパンツは、少しゆったりと作られている。サイズは11種類あり、多くは胸の部分にパッドを入れられる。

 従来の男女別の水着も選択できるが、約150人いる1年生のほとんどは、この水着を選んだという。その一人(12)は「上半身裸にならずに済むことと、日焼けをしにくいことが良い点」と語る。

 同校の八尋崇校長(52)は「男女共用水着は多様な性に配慮でき、体形を気にしたり、アトピー性皮膚炎に悩んだりする生徒も、水泳の授業に参加しやすくなる利点がある」と説明する。

多様性にも配慮

 同校が採用した水着のメーカー「フットマーク」(東京)によると、販売を始めたのは2022年度。23年度は全国の小中高校の約300校で採用され、今年度は400校以上に増える見込みという。

 開発に乗り出すきっかけは、「体を露出したくない」「性の多様性に配慮した水着がほしい」という声が寄せられたことだった。水中で動きやすいよう、水が抜ける穴をパンツの腰の部分に設けたり、上下の水着をホックやひもで留め、上着がめくれないようにしたりして商品化にこぎつけた。

 流通大手「イオン」(千葉)のプライベートブランド「トップバリュ」や、水泳用品メーカー「トップエース」(埼玉)も昨年、子ども向けに、長袖とハーフパンツの男女共用水着の販売を始めている。

 大手学生服メーカー「菅公学生服」(岡山)が昨年2月、全国の中高生1400人に行った調査では、水泳の授業がある生徒のうち、51・8%が「あまり好きではない」「とても嫌い」と答えた。中学生に限れば、62・6%に上った。

 着用している水着は「男女別」が91・1%を占めていた。同社の担当者は「学校の制服ではジェンダーレス対応が進んでいる。水着のデザインが、水泳の授業を嫌う背景の一つにあるのではないか」と分析する。

サイズに注意

 文部科学省によると、水泳の授業は正しい泳ぎ方を学ぶことなどが目的。水着の色やデザインは各学校の判断に委ねている。ただ、生徒たちの心情に寄り添った水着を採用するよう、教育委員会を通じて各学校に呼びかけているという。

 鳴門教育大の松井敦典教授(水泳教育)は男女共用水着について、「プールに入る抵抗感をなくすことにはつながるが、体形を隠すことを優先して大きなサイズを選ぶと、水中運動に適さない可能性もある。指導者や保護者は学習内容を考慮して水着を選んでほしい」と指摘している。

スクール水着変遷、トレンドは紫外線対策

 スクール水着のデザインは時代とともに変化し、年代が進むにつれて、肌の露出は少しずつ減っている。

 フットマークによると、1970年代後半は、女子は肩や太ももが出る「ワンピース型」、男子は上半身や太ももが出る「競泳型」が主流だった。2000年代以降は、徐々に裾の長いデザインが登場している。

 10年以降は紫外線対策が重視され、水着の上から着る長袖の「ラッシュガード」を認める学校が増えた。生地自体も紫外線カットや、水にぬれても体に張り付きにくい「はっ水加工」など高機能化が進んでいる。

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