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ロック・R&B、ジャンル泳いだ先鋭的ジャズライブ…ロバート・グラスパー公演

読売新聞 / 2024年6月23日 1時39分

ビルボードライブで熱演を繰り広げるロバート・グラスパー (c)cherry chill will.

 米国ジャズ界を代表するキーボード奏者、ロバート・グラスパーが来日公演に挑んだ。正統派ジャズから先鋭的なエレクトリックサウンドもこなす才人だが、今回のステージは後者。多彩なスタイルについて聞いた。 (編集委員 西田浩)

 ビルボードライブ東京での4月15日ファーストステージ。DJが繰り出すサンプリング(引用)音源をちりばめながら、自らは電気ピアノやシンセサイザーを奏で、R&B、ヒップホップの要素を大胆に取り入れた浮遊感に富む音を聴かせる。随所でジャズのスタイルにのっとった技巧的なソロを展開。最後はニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」などロックの名曲をメドレーで披露する、まさにボーダーレスなライブとなった。

 「僕は豊潤な音楽の海を自由に泳ぎながら栄養を吸収し、その時々の志向に応じて、様々な形態のサウンドを打ち出している。僕がロックやR&Bの曲をカバーするのは、現代のスタンダード曲として皆に楽しんでほしいから」

 2004年に初アルバムを出し、当初は正統派のジャズピアニストとして高い評価を得た。しかし、12年の「ブラック・レディオ」はヒップホップ、R&Bの要素を大胆に導入。これが大ヒットした。

 「最初に好きになった音楽はR&B。その後、ジャズを学び、デビューすることになった。その時点で、いずれ『ブラック・レディオ』のような作品を出そうと考えていて、契約時にレコード会社にも伝えた。当時のジャズ界は保守的だったので、そこでの評価を得るのが先だと考えたが、初期作品でも、少しずつヒップホップ的な手法を導入し、きたるべき時の準備をしていたんだ」

 22年にはその第3弾「ブラック・レディオ3」を出し、翌年のグラミー賞を獲得している。

 「多彩な歌手やラッパーとの共演を軸にする『ブラック・レディオ』は、訴えるべきことがある時に出すというメッセージ性も帯びている。『3』はコロナ禍、同時期の警官による黒人男性暴行死で拡大した抗議活動などがきっかけとなった。特に冒頭の2曲は黒人を取り巻く抑圧的な状況を告発している」

 近年はソロ以外にも、クリスチャン・スコット(トランペット)らと組んだR+R=NOWや、カマシ・ワシントン(サックス)らが参加したディナー・パーティーなど複数のグループを同時進行させる。

 「それぞれ役割が違う。人間の演奏が基本のR+R――はジャズ寄り、サンプリングによるリズムが土台になるディナー――はヒップホップ寄りのプロジェクト。いずれも試行錯誤、実験の場として重要なんだ」と語った。

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