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能登の漁師に「助け舟」…漁港復旧工事 警戒船業務「生活の糧に」

読売新聞 / 2024年6月22日 17時49分

 能登半島地震で仕事を失った漁師に、漁港の復旧工事で安全を確認する「警戒船」の業務を担ってもらう計画が石川県珠洲市などで進められている。地元で働きながら収入を確保し、漁の再開に貢献できるとして漁師たちも歓迎しており、約50人が22日の講習を受ける。(石見江莉加、大槻浩之)

 「漁再開までの生活の糧にしてほしい」と計画に取り組むのは、能登出身者らでつくる「関西珠洲会」顧問の坂本成昭さん(79)(兵庫県三田市)だ。外航貨物船、大阪や神戸の港運会社で働いた元船乗りで、警戒船の仕事の経験もある。

 警戒船は港湾工事の際、作業船をはじめ、付近を通る船舶が事故に遭わないように監視し、交通整理などを担う。一部で漁船も活用できるとして、坂本さんは「地元の海を熟知する漁師にとってふさわしい仕事」と考えた。クラウドファンディングで集めた寄付を活用し、必要な無線機や拡声機も購入して寄贈する。

 業務を担うには、講習を受ける必要もあり、七尾海上保安部(七尾市)に協力を要請。22日に珠洲市で開かれる特別の講習会には能登周辺の漁師らが参加し、船の安全な誘導や注意喚起の方法などを学ぶ。坂本さんによると、報酬は1隻単位で、漁師1人あたり1回1万円程度と見込まれる。

 農林水産省や水産庁によると、石川県内の69漁港のうち60か所が被災。岸壁が損傷し、数百隻の漁船が転覆、座礁するなどした。特に能登半島の先端や西側の被害は深刻で、最大4メートルの海底隆起も生じた。

 応急復旧のため、海底から土砂を除去する 浚渫 しゅんせつ工事などが進められるが、本格復旧は見通せず、出漁できない状況が続く。それでも警戒船の業務に就けることに、珠洲市の 狼煙 のろし漁港・高屋地区を拠点とする漁師の番匠栄作さん(73)は「海の仕事に携われる」と喜ぶ。

 遠洋漁業に従事後、古里で40年以上、刺し網漁で生計を立ててきた番匠さん。相棒の「栄光丸」(7・9トン)でタイやブリなど旬の魚を取るのが生きがいだった。収入も途絶える中での新たな仕事は「助け舟」になると期待され、「漁港の復旧を支援し、漁の再開につなげたい」と語る。

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