空港の作業車両をEV化で実証実験…国交省「脱炭素化遅れると就航地に選ばれない」
読売新聞 / 2024年6月22日 22時30分
空港の脱炭素化に向けた取り組みが加速している。全国で稼働している約1万3000台の作業車両は、大半の動力源が軽油で、走行時に二酸化炭素(CO2)を排出しない電気自動車(EV)などは6%にとどまる。空港で排出するCO2の1割は作業車両が原因だとされ、実証を進めている。
ANAグループの全日空モーターサービスは5月、廃車対象となった航空機に手荷物を積み下ろしする車両について、エンジン車からEVに改造したと発表した。一般電力から充電が可能で、走行時や荷物の積み下ろし作業のすべての動力が、軽油から電気に変わる。
EVの作業車両はほとんどが海外製で、保守作業に不安があるだけでなく、円安による価格高騰が国内での普及を妨げている。全日空モーターサービスの担当者は「脱炭素は航空業界の使命だ。少しでも貢献したい」と話し、今後も改造を進めるという。
国土交通省によると、羽田空港では、航空関係者しか立ち入れない制限区域で、貨物や手荷物を積み下ろししたり、運んだりするEVの作業車両が稼働している。6台を使って消費電力量のほか、必要な設備を調べるという。年間22トンのCO2の排出削減も期待できる。
静岡空港は、走る距離の長い作業車両をEV化し、普通充電での航続距離や充電時間を検証している。専用設備を使って、急速充電の必要があるかどうかも調べる。熊本空港では、利用から20年ほどがたった航空灯火の点検車両でEV化を図る。
航空分野は、CO2の排出量が多く、海外では「フライト・シェイム(飛び恥)」と言われ、批判が多い。英ブリティッシュ・エアウェイズは今年、ロンドンのヒースロー空港で9割以上の車両をEVや合成燃料の利用に切り替えると発表した。
各国が取り組みを急ぐ背景について、国交省の幹部は、「空港の脱炭素化が遅れると、航空会社から就航地として選ばれなくなるという危機感がある」と語る。
もっとも、課題も多い。空港の電力には余裕がなく、仮にすべての作業車両をEVに切り替えることになれば、送電線の増強といった大規模な投資は避けられない。
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