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沖縄慰霊の日 平和守る具体策が欠かせない

読売新聞 / 2024年6月24日 5時0分

 ウクライナやパレスチナ自治区ガザでは、今も多くの命が理不尽に奪われている。太平洋戦争末期の沖縄戦の犠牲者を悼む「慰霊の日」を迎え、平和の尊さを改めて考えたい。

 沖縄で旧日本軍の組織的戦闘が終結したとされる「慰霊の日」の23日、糸満市で全戦没者追悼式が営まれた。式典に出席した岸田首相は「世界の誰もが平和で心豊かに暮らせる世の中を実現することを誓う」と述べた。

 沖縄戦では県民の犠牲者が9万4000人に上った。79年前の県民の無念と、戦後も続いた沖縄の苦難を記憶に刻み、語り継いでいくことが大切だ。

 ただ、平和を誓うだけでは日本の安全は守れなくなっている。

 尖閣諸島周辺の接続水域では昨年、中国海警局の船が過去最多となる352日間確認された。このうち領海侵入も42日間に上った。海警船をこの海域に常駐させ、尖閣の実効支配化を図ろうという中国の意図は明白だ。

 政府は近年、宮古島や石垣島などに陸上自衛隊の地対艦、地対空のミサイル部隊などを配備してきた。安全保障上の空白地帯と言われてきた南西諸島で、防衛力を高めることは重要だ。

 ところが沖縄県の玉城デニー知事は「自衛隊が基地を造ることで攻撃目標になってしまう。非常に危ない」と反発している。

 防衛体制がない方が平和を守れると、なぜ、また誰が、保障できるのか。ウクライナで起きている現実は、十分な抑止力を持たなければ、いとも簡単に人命や領土を奪われてしまうことを証明しているではないか。

 16日に投開票された沖縄県議選(定数48)では、玉城氏と対立する自民党など「県政野党」の勢力が4議席増の28議席と過半数を獲得し、玉城氏を支持する立憲民主党や共産党など「県政与党」は4議席減の20議席にとどまった。

 安全保障環境が厳しさを増す中で、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡って国と対立し、法廷闘争を繰り返している玉城県政に、県民が疑問を持ち始めているのだろう。

 政府の姿勢にも足りない面がある。県と積極的に対話しているとは言えまい。国が本土の自治体と協議し、沖縄の基地負担の軽減や訓練移転を図っていくべきだ。

 首相は式典への儀礼的な出席だけでなく、進んで沖縄に足を運んで、普天間の危険性の除去や自衛隊配備の意義を、丁寧に訴えていく必要がある。

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