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京都の観光名所、駐車場探す「うろつき渋滞」深刻…清水寺近くの住民「いつも渋滞で車での外出諦め」

読売新聞 / 2024年6月24日 16時0分

 京都の観光名所で、駐車場を探す車による渋滞が深刻化している。清水寺周辺では徒歩並みの速度しか出ていないとの調査結果もあり、地元住民の生活にも支障が出ている。京都市は市中心部への車の乗り入れ抑止に力を入れるが、旅行需要の回復も相まって改善が見通せない。国は民間駐車場の効率的な活用を目指し、事前予約システムの導入に乗り出す。(清家俊生、京都総局 岡田優香)

時速5キロ以下

 清水寺や八坂神社、祇園などの観光名所が集まる京都市東山区。メインストリートの東大路通から清水寺方面に向かう五条坂は入庫待ちの観光バスや他府県ナンバーの車が列をなし、週末になると周辺の駐車場は「満車」状態が続く。

 近くに住む宿泊業の女性(68)は「観光客がたくさん来てくれるのはありがたいが、周辺はいつも渋滞。買い物に行きたくても、車を使う時間帯を考えたり、車での外出を諦めたりしなければならず、生活への影響が少なくない」と漏らす。

 国土交通省近畿地方整備局は、オーバーツーリズム(観光公害)対策に取り組む京都市と連携。昨年11月に東山区で車両の走行データを調査したところ、五条坂での平均速度は時速5キロ以下だった。多くは観光バスや観光客の乗用車とみられ、同整備局は駐車場を利用できずに最大50分のタイムロスが生じていると分析。駐車場を探してさまよう車で混雑する「うろつき渋滞」が顕著だとした。

パークアンドライド

 道幅の狭い路地が多い京都市では、以前から祇園や嵐山、伏見稲荷大社周辺などあちこちで渋滞が問題となっている。市は2002年から郊外の駐車場に自家用車を止め、公共交通機関に乗り換えてもらう「パークアンドライド」を観光客らに呼びかけてきた。

 コロナ禍で落ち込んでいたインバウンド(訪日外国人客)が回復する中、昨年11月の紅葉シーズンには、近隣自治体などにある指定の駐車場で乗り換え、市バスや市営地下鉄を利用すると駐車料金が割引される制度を用意。パークアンドライドの利用でコンビニや飲食店などで買い物に使える500円分の電子ギフト券が抽選で当たるキャンペーンも実施し、渋滞対策の強化を目指した。しかし、同整備局の調査が示す通り、思うような効果につながっていないのが現状だ。

260台分を管理

 こうした状況を踏まえ、同整備局は「渋滞を減らすことで、観光客だけでなく地域住民の生活環境の改善を図りたい」として、民間駐車場の予約システムを導入することにした。

 システムでは、清水寺周辺の駐車場約10か所(計約260台)の予約や利用状況を一括で管理する。専用ホームページで予約を受け付けるほか、リアルタイムの空き情報も閲覧できるようにする。

 公的機関がこうした民間駐車場のシステム整備に乗り出すのは全国初の試みで、11月中旬からの運用開始を予定。予約可能な時期や詳細な運用方法などは今後決定する。まずは清水寺周辺で始め、効果などを見た上で、他の地域への拡大を検討するという。

 観光客からは期待の声が上がる。6月初旬に石川県から家族で観光に訪れた30歳代の女性は「観光前にネットで駐車場を探しても、空いているかは行ってみないとわからない。事前に予約できれば、安心して観光地に行ける」と話す。

 京都市歩くまち京都推進室の長尾由規夫室長は「事前に駐車場を決めてもらえれば、うろつき渋滞の緩和が期待できる。国、京都府、京都市が一体となって取り組みを進め、導入後は課題を洗い出して充実させていくことが必要だ」と語る。

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