サッカー元日本代表の「A級ライセンス」はまさかの「ラクロス」、中沢佑二がサッカー指導者は「ない」
読売新聞 / 2024年6月25日 10時0分
サッカー元日本代表でJリーグ横浜F・マリノスOBの中沢佑二さんが、読売新聞ポッドキャスト「ピッチサイド 日本サッカーここだけの話」に出演。解説者席に座ったときの独自の心構えのほか、2人の娘の影響ではまったラクロスの魅力や子育て論についても語った。
ある解説者の方たちはメラメラ
中沢さんは2019年に現役引退後も、スポーツニュース番組などメディアで目にする機会も多い。引退をきっかけにサッカーの見え方も変化したという。
「選手目線から指導者目線になる。教えるつもりはないんだけどね(笑)。選手じゃないから悔しい思いがない。自分が出ていない試合で勝たれたら『チクショー』って思いがあったからこそ現役だったと思うけど、引退したから悔しくもない。本当にいちファンとして『頑張れ』っていう感じ」
番組MCで元日本代表の槙野智章さんも共感を示しつつ、「ある解説者の方たちは代表の試合で『いや、俺だったら』とか、まだメラメラしてる人いるんですよ。ゴンさん(中山雅史)とかケイスケ君(本田圭佑)とか(笑)」と応じた。
サッカー指導者は「槙野に任せてる」
中沢さんはスポーツ番組などで解説するときに決めているルールがあるという。「選手たちの選択に『いや、こうした方がいいよね』ってのを絶対に言わないようにしている。(視聴者は)解説の人を正確だと思っちゃうから。例えば失敗を『そこは縦パスじゃなくて横パスだったよね』って言っちゃうと、その選手の評価が下がるから。僕は選手たちの瞬間瞬間の判断を尊重したい」
一方、サッカー指導者の道は考えていないとも明言する。
「ない。大丈夫、槙野に任せてる。槙野のチームが出来たら応援するから。何かあったら行くから。同じ世代の選手だった人たちが監督やってたら助けに行く。いつでも行く」
「ラクロスについて調べるようになるじゃん」
サッカーの指導者には興味を示さない中沢さんだが、あるスポーツでは違うようだ。中沢さんの2人の娘は、アメリカの大学でラクロス選手としてプレーしている。
「娘が中学校の部活でラクロス部に入ったのがきっかけだから、そんなに深い話じゃないのよ。バドミントン部、陸上部、ラクロス部で迷ったらしいんだけど、一番楽しそうで、一番雰囲気がいいのがラクロス部だったらしくて、そこでラクロスにハマって」
「親だから練習とか試合とか見に行くよね。ルールも分かんないんだけど応援してて、娘は負けて悔しい、泣く。もっとうまくなりたいってアスリートっぽくなっていくわけ。親として、こうした方がいいんじゃないって指導しなきゃいけないから、ラクロスについて調べるようになるじゃん。(自分も)『あれ、ラクロスもっとできないかな』みたいな欲が出てきて、そこからラクロスにハマっていった」
「A級持ってるんで。サッカーはC級すらないけど(笑)。(ラクロスは)A級ライセンスがあると大学の指導者になれる。S級があると国際試合とか(コーチとして)フル代表を見られたりするから、S級を取る気持ちはある。サッカーのS級は取りにいく気もない」
ラクロスは2028年に開催されるアメリカ・ロサンゼルスオリンピックの正式競技に採用された。中沢さんも指導者としてロス五輪を目指しているという。ラクロスはアメリカ、カナダ、オーストラリア、イングランドが4強。「娘情報によると、アメリカとカナダはずば抜けちゃってるらしくて」。五輪競技に採用されたことも追い風になり、日本国内でもラクロスの注目度は高まっている。
「親があれこれやらせるよりは」
近年は「インドア派」な子どもが増え、スポーツをしない子どもが増加傾向にある。親が子どもにスポーツの楽しさを伝えるにはどうすればいいのだろうか。
「環境が厳しくなりましたよね。サッカーダメ、野球ダメ、いろんなことがダメっていう公園が増えて、気軽にスポーツができない。親も忙しいし、スマホや携帯ゲーム機でちょっと遊べるようにもなって選択肢も増えた」
「過保護な部分もあるよね。(親の)気持ちも分かる。(自分の子たちが)娘だったから、目の届くとこに置いておきたいってのもある」と、中沢さんは社会の現状に理解を示しつつも次のように語る。
「まず外で遊ぶっていうことの楽しさ。楽しく外で遊ぶことからスタートすればいいんじゃないかな。いきなりスポーツに入っちゃうとできないし、できないとやめちゃう子も多いと思う。親子で楽しむことからでいいんじゃないかな。親があれこれやらせるというよりはね」とアドバイスした。
プロフィル
中沢佑二(なかざわ・ゆうじ)
元プロサッカー選手。1978年生まれ。埼玉県立三郷工業技術高校卒業後にブラジルへ単身サッカー留学。現地クラブチームを経て1998年にヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)に練習生として加入。翌年プロ契約し、Jリーグ新人王。2002年に横浜Mに移籍した。日本代表では、2000年シドニー五輪でベスト8、06年ドイツワールドカップ(W杯)、10年南アフリカW杯に出場。19年に現役引退。埼玉県出身。
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