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東京女子医大、子女枠入試の推薦面接で寄付打診…同窓会理事から

読売新聞 / 2024年6月25日 5時0分

 東京女子医科大(東京都新宿区)が医学部卒業生の子女らを対象に行ってきた推薦入試で、同窓会組織「至誠会」の理事が推薦する生徒を選ぶ面接の場で、保護者らに寄付を打診したケースがあることが、同大関係者への取材でわかった。理事が作成した採点票に、寄付の意思を確認した記載があり、面接後に生徒の親族が同会と大学にそれぞれ寄付していた。文部科学省は入学に関する寄付金の収受や募集を禁じており、同大に報告を求めている。

採点票に意思確認記載

 問題の入試は、至誠会の会員(卒業生)か準会員(在校生)が3親等以内にいる子女らを対象に2018年に始まり、同会の審査で推薦された生徒が、同大の試験を受けることができる仕組みだった。

 至誠会は毎年、大学に推薦する生徒を決める審査を9月下旬に実施。18年は4人が申請し、志望動機書や面接の内容で審査が行われた。面接には生徒の保護者ら親族も同席した。

 同大関係者によると、18年9月末に行われた面接は、大学理事を兼務していた至誠会理事3人が担当。各理事の採点票には面接でのやり取りが記されていた。理事の1人は、「面接での質問・確認事項」として、「校舎の建築中で資金不足である。協力して頂けますか」と記載。「はい 協力したい」と回答を得たと書いていた。別の理事も、この生徒の採点票に「寄付等 協力を惜しまない」と記入していた。

 18年の推薦審査では、申請した生徒4人全員が「大学創設者に関する質問に答えられなかった」として、10月下旬に再審査が行われた。その結果、4人とも推薦され、同大の試験にも全員が合格した。

 採点票に寄付に関する記載があった生徒の親族は、1回目の審査直後に至誠会に10万円を寄付。入学した19年4月には、同大に500万円の寄付金を納めていた。

 20年9月に実施されたある生徒への面接の採点票にも、「至誠会・女子医大への貢献について」という項目に、「寄付の文言あり」と寄付に関するやり取りをうかがわせる記載があった。

 文科省は02年10月の事務次官通知で、私大の入学に関して寄付金を収受したり、募集や約束をしたりすることを禁止している。同省大学入試室は「受験生に入学の意思があることを認識したうえで、大学が寄付を受け取るのは望ましくない」としている。

 同大は取材に「至誠会に関する事項について回答できる立場にはなく、回答を控える。本法人が特定の個人に対し、寄付を求めた事実はなく、文部科学省の通知に違反しているとの認識はない」などと回答している。

「合否に関わると受け止めるのが自然」

 東京女子医大の卒業生の子女枠の推薦入試では、同大と至誠会が受験生の親族から寄付金を受け取っていたことが判明している。読売新聞が内部資料を分析したところ、両法人への入試時期の寄付額は、18〜22年の5年間で少なくとも約3400万円に上っていた。

 大学入試制度に詳しい田中義郎・桜美林大教授(高等教育)は、「同窓会組織での選考段階とはいえ、大学理事も兼ねる面接官が寄付の意思があるかを聞けば、受験生側は合否に関わると受け止めるのが自然だ。入試の公平・公正さについては、社会の関心も高く、大学として誤解を招かない仕組みが望ましい」と話す。

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