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博士人材の活用 幅広く能力を生かせる社会に

読売新聞 / 2024年6月25日 5時0分

 博士号の取得者は、科学技術や産業の発展に欠かせない人材だ。専門的な知識を生かして、活躍できる場を広げていくことが大切だ。

 文部科学省は、博士の数を増やし、産業競争力を強化する「博士人材活躍プラン」をまとめた。人口100万人あたりの博士号取得者数を、2040年までに、今の3倍にあたる370人に増やすことが目標だという。

 近年は、AI(人工知能)や生命科学などの分野で技術の進歩が著しい。高度な知識や技術を持つ博士号取得者の人材獲得競争が世界的に激化しており、各国で博士号の取得者数が増えている。

 ところが、日本では取得者の減少傾向が続いている。博士課程に進む人の数も、03年度のピーク時と比べて2割も減少している。

 学生の間では「博士課程に進んでも経済的な評価に結びつかない」「博士号を取得した後の就職が心配だ」などの声が多いという。こうした不安を解消しなければ、文科省が数値目標を掲げても達成は容易ではなかろう。

 文科省は1996年にも、博士研究員(ポスドク)を増やそうという「ポスドク1万人支援計画」を打ち出した。だが、肝心の受け皿がないままで、高学歴にもかかわらず収入の少ない若手研究者が大量に生まれる結果となった。

 日本では「博士は、学術研究の道に進むものだ」といった固定観念が強すぎるのではないか。

 博士号を取得しても、新卒一括採用のため、専門職として特別な待遇が得られないケースも多い。「博士は頭が固く、融通が利かない」といった理由で、採用に消極的な企業もある。

 海外では、博士号取得者には、大企業や官庁のほか、新興企業、国際機関、教師など様々な道が開かれている。深い思考や分析能力を備え、社会の課題を解決できるような博士を適正に評価し、活用していく姿勢が重要だ。

 主要大学の研究者らの団体は「たこつぼ的な専門技術教育ではなく、チームのリーダーとして広い視野をもった人材を育てる必要がある」と提言した。

 大学院も旧態依然の教育から脱却し、社会の要請に応えられる人材の育成に努める必要がある。女性の博士号取得者をいかに増やすかも課題だ。理科系は特に女性が少なく、対策が急務である。

 社会の意識を変え、有能な博士人材を適切に処遇していくことが重要だ。文科省は産業界との連携強化などにも努めるべきだ。

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