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認知症患者標的の不動産契約、高齢者ら9万人分の名簿と詐欺電話マニュアル押収…容疑者4人を再逮捕へ

読売新聞 / 2024年6月25日 9時46分

警視庁

 認知症の高齢女性に不当な高値で不動産の売買契約を結ばせたとして男4人が逮捕された事件で、警視庁が4人の勤務先の不動産会社から、高齢者ら約9万人分の名簿や詐欺電話のマニュアルを押収していたことが捜査関係者への取材でわかった。警視庁は、4人が事前に認知症の症状や資産状況を確認した上で契約を持ちかけていたとみて、25日にも別の準詐欺容疑で再逮捕する。

 捜査関係者によると、再逮捕されるのは「インターネット不動産販売」(東京都板橋区)に勤務する豊島区、職業不詳の男(41)ら4人。いずれも昨年6月、都内の80歳代女性が認知症を患っていることに乗じて、同社が所有する相模原市のアパート1室を共有名義で所有する売買契約を結ばせ、約3400万円を詐取した疑いが持たれている。同社は、この物件を事件前に約300万円で購入していたという。

 準詐欺罪は認知症の高齢者や知的障害者らの心神耗弱状態に乗じ、財産を不当に得た場合に適用される。

 警視庁が同社から押収したパソコンを解析したところ、高齢者ら約9万人分の氏名や住所、電話番号が記載された名簿のほか、詐欺電話のマニュアルが残っていた。

 マニュアルには、高齢者の認知機能の程度や資産状況、同居人の有無、知人関係などを電話で細かく聞き出すように促す記載があった。最初に電話をかける相手に向けた台本では、「約6年前にこの地域で営業担当だった。『若いんだから頑張りなよ』と声をかけられ、励みになりました」などと、切り出すように指南してあったという。

 警視庁は4人が2022年以降、首都圏の認知症の高齢者ら約50人と不動産物件の持ち分を購入させる契約を結び、約1億3000万円を詐取したとみている。契約額は相場の最大約10倍で、4人は詐取金を振り込ませるために金融機関の窓口に同行するなどしていたという。男ら4人は昨年6月、被害女性から現金1600万円を詐取したとして、今月5日に準詐欺容疑で逮捕されていた。

判断能力の低下につけ込まれ7000万円支払い

 「判断能力が低下した高齢者につけ込むのは卑劣で許せない」。千葉県で一人暮らしをしている認知症患者の母親(84)が、計約7000万円を「インターネット不動産販売」に支払ったという男性(51)は取材に、憤りを語った。

 支払いが判明したのは今年2月。母親の症状が進行したことを受け、男性が資産状況を確認したところ、昨年6月に母親名義の定期預金の口座と年金保険が解約され、同月中に同社名義の口座に送金されていた。

 母親は「覚えていない」と話し、不審に思った男性が母親宅を調べると、書棚から同社との「不動産売買契約書」4通が見つかった。

 同社が所有する相模原市などのアパート計4室を母親が共有名義で所有する契約で、売買価格は相場を大幅に上回る650万〜2500万円だったという。男性は警視庁に被害を相談しており、「老後のために蓄えていた大切なお金。返してほしい」と話した。

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