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能登半島地震の不明者捜索を再開、二次災害懸念で4か月ぶり…弟を探す兄「今度こそ見つける」

読売新聞 / 2024年6月25日 8時56分

 能登半島地震による土砂崩れで民家が巻き込まれた石川県輪島市市ノ瀬町で、県警は24日、約4か月ぶりに行方不明者の捜索を再開した。二次災害の危険があり3月上旬から中断していたが、安全対策工事を終えた。「今度こそ見つけてやるからな」。金沢市の会社員 垣地 かきち弘明さん(59)は、弟・ 英次 ひでつぐさん(56)との「再会」を願い、捜索を見守った。(丸山菜々子、浦上華穂)

 土砂や流木がうずたかく残る市ノ瀬町の集落でこの日、県警機動隊員や建設作業員らが重機を使い、約40人態勢で手がかりを探した。

 元日の地震で、英次さんが一人で暮らす家は背丈を超える高さの土砂で埋まり、2階部分が100メートル近く流された。垣地さんは近くの避難所に身を寄せ、毎日捜索を見守った。英次さんが消防団の活動で着用した服やヘルメット、アルバム。捜索中断までに土砂の中から様々な物が見つかったが、英次さんは発見されていない。

 英次さんは、一人暮らしの母親を心配し、30歳の頃、会社員を辞めて実家に戻った。瓦ぶき職人として働きながら昨年秋に母親が亡くなるまで世話をした。

 「本来は長男の役目なのに、文句一つ言わず引き受けてくれた。全部背負わせてしまったな」。あの日も自分の代わりに土砂にのまれたんじゃないかと思うと、垣地さんは胸が苦しくなる。

 英次さんと母親が大切にしていた畑に4月、カボチャやジャガイモなどを植えた。「英次の苦労を感じたい」と慣れない農作業をしながら待ち続けた捜索再開。垣地さんは「一筋の光が見えた」としながらも「あの日から何も変わっていない」と話し、こう続けた。「早く出てこいよ、英次」

 地震により石川県では輪島市の3地区で3人が行方不明となっている。県警は他の2地区でも安全対策が完了し次第、捜索を再開する方針。

「1981年基準」で全壊、4棟に1棟

 最大震度7を観測した能登半島地震では、現行の耐震基準に基づく建物は無被害が7割近くで、全壊と半壊を合わせても1割未満であることがわかった。被害は古い耐震基準の建物に集中していた。調査した日本建築学会北陸支部が25日、暫定報告として公表する。

 今回の調査は被害が目立つ石川県輪島市、珠洲市、穴水町の計9地区・約7000棟を対象に目視で行われ、約5700棟の分析を終えた。

 それによると1981年に導入された「新耐震基準」で全壊した建物の割合は、4棟に1棟に上った。新耐震基準は震度6強以上でも建物が倒壊しない強度が求められるが、過去の地震で柱やはりなどを固定する接合部の強度が下がったとみられる。半島では2020年12月から群発地震が続き、昨年には震度6強の地震が起きていた。「旧耐震基準」では、全壊が5割近くに達していた。

 一方、00年以降の現行基準で被害が少なかったのは、壁の配置や金具の固定方法などが厳格化されたためとみられる。調査を取りまとめている金沢大の村田晶助教(地震防災工学)は「現行基準に沿っていれば、被害は軽微に収まることがわかってきた」と話す。

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