ブラジル勢がパラ陸上で躍進、世界選手権で総メダル数2位に…16年リオ・パラリンピック後の強化が奏功
読売新聞 / 2024年6月26日 13時24分
5月のパラ陸上世界選手権(神戸)で南米のブラジル勢が活躍した。地元開催の2016年リオデジャネイロ・パラリンピック後も続けてきた強化や普及が実り、パリ・パラでも日本の強力なライバルとして立ちはだかる。
今大会、ブラジルの金メダルは19個で、銀、銅を含めた総数でもトップの中国に次ぐ42個を獲得。総数で1位だった昨年の世界選手権パリ大会に続いて力を発揮した。
大会初日の5月17日、日本勢の優勝が期待された男子5000メートル(視覚障害T11)はブラジル勢がワンツー・フィニッシュを果たした。世界記録で制したエウツィン・ジャケスは32歳。ベテランがトップレベルを維持し、若手選手も台頭した。「ブラジルの力の入れ方は半端ではない。パラリンピックで要注意」と、日本パラ陸連の宍戸英樹強化委員長は警戒する。
陸上に象徴されるようにブラジルのパラスポーツには勢いがある。16年リオ・パラ直前に政府とサンパウロ州が約3億レアル(当時約94億円)を投じ、宿泊施設も備えたパラ選手専用のトレーニングセンターをサンパウロ市に完成させた。その後も各地の自治体や大学などが連携し、小規模なパラのトレセンを50か所ほど設置。
ブラジル・パラ委員会のハイパフォーマンス・ディレクターを務めるヨナス・フレイレ氏はトレセンを軸に、「子供から大人まで幅広い年齢層の選手を発掘して育成・強化している」と言う。
宝くじの売り上げを障害者スポーツ強化に割り当てるなどの行政支援も2000年代から継続しており、企業からのスポンサー料も16年大会以降、「横ばいの状態」(フレイレ氏)と減っていない点も強みだ。
注目度が高い地元開催のパラリンピック後のブラジルの取り組みは、21年東京大会を経てパリへと向かう日本にとっても参考にすべき点は少なくない。(畔川吉永)
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