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手塚治虫や石ノ森章太郎も批評、マンガを初めて論じた「漫画主義」が終刊

読売新聞 / 2024年6月26日 16時0分

「漫画主義」終刊号(中央)と創刊号から12号まで=山田英生さん提供

 日本初の漫画評論誌として1967年から断続的に刊行されてきた「漫画主義」の終刊号が今月刊行された。創刊号から同人だった映画評論家、山根貞男さん(2023年2月死去)の追悼を兼ねている。子ども向けと思われていた漫画を評論の対象に引き上げてきた。

 「漫画主義」は、美術評論家の石子順造さん、山根さん、編集者の梶井純さんと高野慎三さんの4人が67年3月に創刊。「漫画はまだきちんと論じられたことがない」という石子さんの発案だった。題字と表紙は赤瀬川原平さん。同人誌として毎号300部ほど発行された。単独の形で12号、他雑誌収録の形を入れると14号まで出ている。79年を最後に発行が止まっていた。

 山根さんは「日本映画作品大事典」の編集などで知られるが、評論活動の出発点は漫画家のつげ義春さんだった。「漫画主義」創刊号で山根さんは、つげさんが「月刊漫画ガロ」に発表した初期短編「沼」(66年)「チーコ」(同)などをいち早く論じた。つげさんが「ねじ式」で脚光を浴びるのは68年以後。当時の「ガロ」編集部にいた高野さんは、「山根さんは、つげ作品を高く評価した日本最初の評論家」だと指摘する。

 「漫画主義」では、他にも水木しげる、白土三平、手塚治虫、石ノ森章太郎らが論じられた。後の漫画評論に与えた影響は大きい。

 理論的中心だった石子さんは77年に死去。2019年に梶井さんも死去した。高野さんは「梶井さんの通夜の席で、山根さんが『終刊号を出そうよ』と僕に言ったんです。2人ならできると思ったが、進まないうちに山根さんも亡くなってしまった。その約束をやっと果たせましたが、追悼になってしまったのは心残り。山根さんの漫画評論をもっと読みたかった」と語る。

 終刊号では、山根さんの「愛と誠」(原作・梶原一騎、漫画・ながやす巧)論や、「ガロ」を巡る座談会など、単行本未収録の資料を発掘した。「漫画主義」全号総目次と、「貸本マンガ史研究」特別号も併録。

 限定500部。問い合わせは発行所の 喇嘛 らま舎(電03・3233・5635)まで。

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