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露のアジア接近 「法の支配」置き去りは危うい

読売新聞 / 2024年6月27日 5時0分

 ベトナムが、国際法を無視したロシアのウクライナ侵略に目をつぶり、ロシアと連携を強めるようでは、「法の支配」を重んじる国際社会に疑念を抱かせる。

 ロシアへの過度な傾斜は東南アジア情勢の安定を脅かし、かえって自国の安全にも悪影響が出るのではないか。

 ロシアのプーチン大統領が、伝統的友好国のベトナムを訪問し、エネルギーや安全保障などの分野で支援を強める考えを示した。

 ウクライナ侵略後、プーチン氏の外国訪問は中国やベラルーシ、北朝鮮など同盟・友好国が中心だった。東南アジアを訪れたのは今回が初めてだ。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)の主要国で、ウクライナ侵略への批判を控えるベトナムに接近し、米欧日による対露包囲網に対抗する狙いは明白である。

 ベトナムは、ベトナム戦争などで旧ソ連から支援を受けた。現在も武器の約8割がロシア製だ。

 今回はベトナムがプーチン氏を招待した。国際刑事裁判所(ICC)は戦争犯罪容疑でプーチン氏に逮捕状を出している。ベトナムはICCに非加盟とはいえ、プーチン氏の外交攻勢に利用されたとみられても仕方ないだろう。

 ベトナムは近年、南シナ海で領有権を争う中国に対抗する立場から、米国とも連携を深めている。国際情勢が流動化する中、どの大国ともバランス良く付き合い、実利を得ようとするのは、ベトナムに限ったことではない。

 だが、法の支配や人権の尊重といった原則が守られなくなれば、世界はいっそう 混沌 こんとんとし、あらゆる国が不利益を被ることになるのではないか。

 気がかりなのは、プーチン氏が訪越の際、「ASEANとの対話の発展を重視している」と述べ、他の加盟国の取り込みにも意欲を示したことである。

 ロシアは、中国やインドなどと構成する新興国グループBRICSにタイやマレーシアを加えることに前向きだ。10月に議長国として自国で開催する首脳会議で承認する可能性もある。

 ウクライナ侵略に中立的なアジアやアフリカなどの新興・途上国「グローバル・サウス」がロシアとの実務協力を進めれば、西側の対露制裁の効果が弱まり、戦争はさらに長期化する。

 日本は長年、グローバル・サウスの発展を支援してきた。引き続き普遍的価値の重要性を説き、協力を深めていくことが大切だ。

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