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温室効果ガス削減量、農業分野で世界初の「2国間取引」へ…フィリピン・ベトナムと

読売新聞 / 2024年6月27日 15時0分

 政府は今夏、温室効果ガスの削減技術を提供する代わりに削減量を相手国と分け合う「2国間取引」に、農業分野で初めて乗り出す。日本企業がフィリピンとベトナムの水田で行うメタンガス排出削減事業が対象で、農業分野での2国間取引は世界初という。温室効果が高いメタンの排出削減に貢献するとともに、日本企業の海外展開を後押しし、農業分野での脱炭素市場をリードする狙いだ。

 日本が2013年に導入した「2国間クレジット制度(JCM)」を活用する。技術提供による温室効果ガスの削減量の一部を、日本分に算入するとともに「クレジット」として発行する制度で、これまでフィリピンやベトナムを含む29か国と締結。主にエネルギー分野での取引実績はあったが、農業分野は未開拓だった。

 農林水産省によると、今回の事業には、農機大手クボタなどの日本企業が参画。「 間断 かんだんかんがい」による削減手法を2国に提供し、削減できた排出量の一部をクレジットとして日本側が取得する。クレジットは、脱炭素に取り組む国内外の企業に売却する。売却益の一部は、現地の農家に還元する。

 世界の農耕地から排出される温室効果ガスの48%は水田由来で、その94%をメタンが占めている。メタンは、二酸化炭素(CO2)の25倍の温室効果がある。世界のコメ生産量の9割を占めるアジアで、水田由来のメタンをいかに減らすかが大きな課題となっている。

 間断かんがいは、稲の成長中に水を度々抜いて干上がらせる手法で、酸素を嫌う土壌内のメタン生成菌の活動を抑え、排出量を減らす。ベトナムの水田での実証実験では、単位面積当たりの排出量を約4割削減でき、収量も約2割上がったという。

 政府などの試算では、フィリピン、ベトナムの水田で1年間に削減できる排出量は、フィリピンが約320万トン(全体の7%)、ベトナムが約1400万トン(同39%)に上り、クレジットの市場価格は合わせて約200億円とみている。

 政府は、30年度の温室効果ガス排出量を13年度から46%減らし、50年までに実質ゼロとする「カーボンニュートラル」の実現を目指しており、農業分野での2国間取引を他のアジア諸国にも拡大していく方針だ。

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