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「逆転の」早田ひな、目指すは王者フェデラー…初の五輪で日本勢初の「金」なるか

読売新聞 / 2024年6月30日 15時32分

1月の全日本選手権女子シングルス決勝で張本美和を破り、優勝した早田ひな。パリでは打倒中国に挑む=池谷美帆撮影

[エース出陣]<1>…卓球女子 早田ひな 23 日本生命

 夏のパリ五輪が開幕するまで1か月を切った。目前に迫った大舞台で、注目競技の日本のエースたちはどんな戦いを挑もうとしているのか。担当記者が紹介する。

 卓球女子シングルスの金メダルは、1988年ソウル五輪で正式種目となって以降、9大会連続で中国勢が独占してきた。その無敵の相手の打倒に、日本のエースとして初めての五輪で挑む。

 「逆転の早田」を自任する。劣勢での驚異的な粘りを強く印象づけたのは、昨年5月、南アフリカ・ダーバンで開かれた世界選手権個人戦で見せた世界ランキング3位(当時)の王芸迪(中国)との激戦だ。

 最終第7ゲームでは、8―10と土俵際に立たされても、みじんもひるまなかった。このポイントも含めて9度もの相手マッチポイントをしのぎ、最後は21―19とついに逆転。歓喜の涙があふれた。

 中国のトップ選手になかなか勝てず、「早田は競るけど負ける」という声があることをずっと意識していた中で、自分の殻を破った瞬間だった。以前は中国勢に対して格上との遠慮からか、「思いきってやろう」と思うだけ。ところが、ダーバン大会では試合に集中する感覚があり、「同じ土俵に立って、ちゃんと勝負をしにいっている。ここからだなと思った」という手応えがあった。

 秋には中国・杭州でのアジア大会シングルスで王芸迪と再戦し、4―3と撃破。中国のトップ選手に連勝を飾った。

 中国勢に好結果を残す一方、国内での存在感も圧倒的だ。今年1月の全日本選手権シングルスは2年連続で3度目の優勝。この大会まで、複数の大会による2年間の五輪代表争いで積み重ねたポイントは910・5点。536点で2位の平野美宇(木下グループ)、471・5点で3位の伊藤美誠(スターツ)に大差をつけ、目指していた「ぶっちぎり」での代表入りを果たした。

 逆境をひっくり返してきたのは、試合の展開ばかりではない。4年前、東京五輪の代表からもれた後、「ここから4年でどう変わるか。逃げずに頑張る」と強い決意を固めていた。全日本選手権の制覇、五輪でのデビューはいずれも同学年の平野、伊藤より遅れたが、たゆまぬ努力で、第一人者の地位を確立した。

 卓球で、テニス男子のロジャー・フェデラー(スイス)のようになりたいと語ったことがある。四大大会のシングルスで通算20度優勝したオールラウンドなプレーや、結果のみならず、コート外の振る舞いも含めて誰からも尊敬される真の王者だ。

 志を高く、ひたむきに歩む先はどこまでたどり着くのか。見る者をワクワクさせる強い選手だ。(杉野謙太郎)

[世界のライバル]孫穎莎 王国の柱

 同い年の孫穎莎(中国)は世界ランキング1位で、王国のエースだ。昨年の世界選手権個人戦ダーバン大会のシングルスで優勝。東京五輪ではシングルスで銀メダル、団体で金メダル。国際卓球連盟によると、早田には2014年以降、今年6月まで無敗の15連勝中。しかしながら、「早田はどんどん向上している。お互い一緒に成長したい」と認める存在だ。

はやた・ひな 2000年7月7日生まれ。福岡県出身。全日本選手権女子シングルスは20年に初優勝し、今年まで計3度制した。23年には女子ダブルス、混合ダブルスと合わせた「3冠」も、女子で史上4人目として達成。女子シングルスの世界ランキングは日本勢トップの5位。

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