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元東京高検検事長の定年延長巡る協議記録、大阪地裁が開示認める…「解釈変更の目的は黒川氏」

読売新聞 / 2024年6月28日 10時36分

 黒川弘務・元東京高検検事長の定年を延長した2020年の閣議決定を巡り、法務省内で協議した記録の不開示決定を取り消すよう大学教授が求めた訴訟の判決が27日、大阪地裁であり、不開示決定の大部分を取り消した。政府が閣議決定前に国家公務員法の定年延長規定は検察官にも適用されると解釈を変更したことについて、徳地淳裁判長は「解釈変更の目的は、黒川氏の定年延長だった」と言及した。

 検察官の定年は検察庁法で63歳(検事総長は65歳)と規定されている。国家公務員法の定年延長規定は従来、「検察官に適用しない」とされていたが、法務省は19年12月頃から解釈の変更を検討。20年1月の閣議決定前に「適用される」と解釈が変更された。

 上脇博之・神戸学院大教授は21年9月、「黒川氏の定年延長のため、法務省内で解釈変更を協議、検討した文書」の情報公開を請求。法相が「黒川氏の定年延長を目的に解釈変更を協議し、作成した文書はない」として不開示を決定したため、上脇教授が決定の取り消しを求める訴えを22年1月に起こしていた。

 徳地裁判長は判決で、法務省がわずか1か月ほどで、従来と全く異なる解釈に変更することを決め、関係機関と調整したと指摘。閣議決定は黒川氏が63歳で定年する予定日の7日前で、徳地裁判長は「解釈変更は黒川氏の定年に間に合うよう、ごく短期間で進められたと考えるほかない」とした。

 その上で、法務省が所有する解釈変更に関する検討文書について、黒川氏の定年延長を目的に作成されたものだと認め、開示すべき文書にあたると判断した。

 今回の訴訟では、閣議決定時の法務次官だった辻裕教氏が出廷し、証人尋問が行われた。辻氏は、解釈変更の理由について「社会情勢によって捜査手法も変わり、担当が定年で交代すると重大な支障が生じる場合もあると考えた。特定の検察官の定年延長が目的ではない」と主張していた。

 定年延長の閣議決定は、当時の安倍政権に重用されていたとされる黒川氏を検察トップの検事総長にするためだとの見方もあった。閣議決定から4か月後の20年5月、黒川氏は新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言期間中に賭けマージャンをしていたことが発覚し、引責辞任に追い込まれた。

 判決後、上脇教授は大阪市内で記者会見し、「安倍政権で 恣意 しい的な判断がされていたことを司法が認めた意義は大きい」と評価した。

 法務省は「判決内容を検討し、適切に対処する」とコメントを出した。

 林官房長官は27日の記者会見で、「法務省で適切に対処すると承知している」と述べた。

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