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市民会館が取り壊され、富士山の眺望が復活した志木の「田子山富士塚」…市民要望で建て替え後も6m低い建物に

読売新聞 / 2024年6月29日 7時43分

富士山の全容を見られるようになった田子山富士塚の頂上からの眺望(4月10日、志木市で)=田子山富士保存会提供

 富士山を模してつくられた埼玉県志木市本町の築山「田子山富士塚」で、頂上から“ご本尊”の富士山の全容を望めるようになった。近くの市民会館が取り壊されて遮るものがなくなったためで、市民からの要望を受けて建て替え後も眺望を損なわないようにするという。富士塚では7月6日、富士山にならって「山開き」の神事を行い、千客万来を願う。(市川憲司)

 田子山富士塚は高さ約9メートル、直径約30メートルで、1872年に築造された。天候に恵まれれば、約90キロ・メートル離れた富士山を頂上から拝むことができるが、1978年に市民会館が建設されてからは、富士山の左側が遮られるようになった。

 40年以上が経過し、老朽化した市民会館の建て替え検討が始まると、「富士塚からの眺望に配慮してほしい」という要望が市に寄せられた。この声を受け、市は市民会館を建て替える際に高さを約6メートル低くすることを決めた。

 旧市民会館が撤去された昨年12月、富士塚から富士山の全容を見られるようになった。今年4月には、富士塚周辺で咲くサクラと富士山が織りなす絶景も多くの人が楽しんだ。「田子山富士保存会」の清水良介会長(80)は「小学生の時から富士塚の頂上で富士山を見てきた。久しぶりに見た景色だった」と喜んでいる。

 田子山富士塚は、猛暑期間中を除く大安と友引の日に登れる。山開き前でも登拝可能で、保存会による無料の説明ガイドも申し込める。問い合わせは市商工会(048・471・0049)へ。

埼玉県内に260基…信仰伝える

 富士山を登るには、時間や費用がかかり、体力も必要だ。それでも霊山を登拝したいと願う富士山信仰のあつい人たちは多く、江戸時代以降、「富士登山と同じ御利益を得られる」として関東を中心に多くの富士塚が造られた。

 埼玉県内では、富士塚の築造が特に盛んで、山梨県富士吉田市の「ふじさんミュージアム」によると、260基以上の富士塚が残されている。当時栄えていた舟運を活用し、舟で溶岩を運べたことなどが背景にあったとみられるという。

 これらの中でも、田子山富士塚は最大級のものだ。神社や石碑などの石造物、つづら折りの登山道、富士山から運び込まれた2000個以上の溶岩などが当時の富士山信仰を知る上で貴重な史料となっており、2020年3月には国重要有形民俗文化財に指定された。

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