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長野側は有料で山菜採りOKだが混雑、立ち入り規制の群馬側が「穴場」に…遭難やクマ出没の危険性も

読売新聞 / 2024年6月29日 7時48分

 長野県境にほど近い群馬県嬬恋村の山間部で今月、山菜採りのため立ち入り規制区域に入る人が続出している。有料で入山が可能な長野県側には大勢の人が押し寄せるため、群馬県側が「穴場」となっている。常連らは「この地域の風物詩だ」などと悪びれてもいないが、遭難が起き、クマの目撃も増えていることから、警察は警戒を強化している。

(桜木優樹)

 両県境の万座峠周辺は、ネマガリダケとよばれる希少なタケノコの産地として知られる。通常は両県側で入山が規制されているが、長野県側はネマガリダケが旬を迎える6月頃の約1か月間に限り、入山管理協力金(当日券1000円)を払えば立ち入りが認められる。昨年は計約4700人が訪れた。

 こうした中、隣接する群馬県嬬恋村の規制区域に入る人が毎年相次いでいる。群馬県警長野原署などによると、「手つかず」のエリアでのネマガリダケ採取が目的とみられる。同署などが9日午前、万座峠から県境まで約5キロを巡回したところ、道路脇で無人の駐車車両7台を発見。近くにいた持ち主らに口頭で注意した。また、記者が15、16日に同区間を訪れると、多いときは約15台が道路脇に止まっていた。ほぼ長野ナンバーだった。

 長野県では、ネマガリダケを使った「たけのこ汁」が郷土料理となっている。毎年群馬側に来るという須坂市の60歳代男性は「長野側は人が多すぎる。ここのネマガリダケは太く、虫もついていなくて質が良い」と説明。同県千曲市の60歳代男性も「数十年来ており、この地域の風物詩のようなものだ」と平然と話した。

 しかし、一帯では昨年6月、須坂市の60歳代男性が友人とはぐれて2日間行方不明となる遭難事故もあった。幸い救出されたが、周辺はクマザサが人の背丈まで生い茂って方向感覚を失いやすく、警察の救出部隊でも100メートル進むのに1時間かかったという。嬬恋村総務課によると、遭難事故が起きると地元の消防団員も出動しているが、「団員も慣れていない土地で二次遭難の恐れがある。立ち入らないでほしい」とする。

 同様の遭難が例年起きることから、長野原署は昨年までは不定期だった県道の巡回を、今年は5月下旬から原則毎週末に実施。吾妻森林管理署も、県道沿いの立ち入り規制看板41本のうち劣化して見えにくくなった20本をこの春更新した。

 また、近年はクマの目撃情報も増加。万座温泉観光協会などによると、5月下旬に牛池の遊歩道で親子のクマ3頭の目撃情報が相次ぎ、環境省が遊歩道を一時立ち入り禁止にした。同じ親子とみられる3頭は、その後もスキー場のゲレンデなど複数箇所で目撃されているという。

 長野原署の江黒幸浩地域課長は「立ち入り規制の場所は遭難しやすいうえ、クマと遭遇する危険性もある。絶対に入らないでほしい」と呼びかけている。

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