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文科省、試験研究炉の整備推進へ…原子力は脱炭素やGXの「有力選択肢」と位置づけ

読売新聞 / 2024年6月29日 15時0分

原子力科学技術政策の方向性のポイント

 文部科学省が7月の原子力科学技術委員会で決定する「原子力科学技術に関する政策の方向性」の概要が判明した。原子力をカーボンニュートラルやGX(グリーントランスフォーメーション)の「有力選択肢」と位置づけ、新試験研究炉の整備推進や、次世代革新炉の開発に向けた技術基盤の強化などを盛り込んだ。

 「政策の方向性」は、昨年に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」などに沿って文科省が進める原子力科学技術の将来像を示すものだ。ロシアのウクライナ侵略でエネルギー価格が高騰している現状を指摘し、「原子力科学技術はエネルギーや技術、経済などの安全保障上、極めて重要」と強調している。同省は、関連経費を来年度予算の概算要求に計上する方針だ。

 具体的には、原子炉で発生する放射線の一種「中性子線」を取り出し、電池や機械の内部構造などを解析する「新試験研究炉」の設置を急ぐ。既存の試験研究炉の多くは老朽化などで廃止される方向で、新試験研究炉の設置は急務となっている。新試験研究炉は、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市、廃炉中)敷地内に設置されることが既に決まっており、候補地の地質調査など、具体的な整備を進める。

 次世代革新炉については、現在停止中の日本原子力研究開発機構の高速実験炉「常陽」(茨城県大洗町)を2026年度半ばに再稼働させることを目標に、常陽の燃料を製造する方策を検討する。また、発電時に出る高温の熱を使って脱炭素エネルギーの水素も製造できる高温ガス炉に関しては、30年をめどに、「HTTR」(同)でガス炉と水素製造施設をつなぐ技術の確立を目指す。

 人材確保の必要性も掲げ、国内の大学や研究機関が連携して原子力人材の育成を目指す「先進的原子力教育コンソーシアム」を中核に据える。コンソーシアムを通じ、大学の一般教養の教育課程で原子力の基礎教育を実施するなど、人材の裾野を拡大する方向で検討する。

 原子力を巡っては、11年に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故で国民に不安が広がった。こうした懸念を踏まえ、「安全の確保を大前提に、不断の努力に継続して取り組む」とも強調している。

◆次世代革新炉=既存の原発より安全性や燃料の燃焼効率の高さが見込まれる原子炉。効率良くプルトニウムなどを燃やせる高速炉や、水素も製造できる高温ガス炉などが開発されている。岸田首相は昨年の施政方針演説で、廃炉となる原発から次世代革新炉への建て替えを進める方針を示した。

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