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超高速レース再現「ドライバー席の臨場感」に挑む…伝記映画「フェラーリ」マイケル・マン監督

読売新聞 / 2024年6月29日 15時36分

 跳ね馬のエンブレムとともに世界中で愛されるスポーツ車「フェラーリ」。伝説的創始者の光と影を描く伝記映画が7月5日に公開される。自らも熱心なフェラーリファンのマイケル・マン監督が構想30年で実現させた。代名詞でもあるレースシーンは「ドライバー席に座っているかのような臨場感」に挑んだ。(木村直子)

 舞台はF1界の帝王と言われたエンツォ(アダム・ドライバー)がフェラーリ社を創業してから10年後。経営不振に陥っており、イタリア縦断の公道レース「ミッレミリア」に社運を懸ける。その戦果が、売り上げに直結したからだ。

 情熱と狂気が入り乱れるレースを再現するため、当時のレースマシンを3Dスキャンするなどして撮影用車を調達した。「11台も新たに車を作らなければならず、そのために私も(主演の)アダムも報酬を削った」という熱の入りようだ。

 監督自身、一般ドライバー向けのレース経験があり、撮影にもこだわった。「まず、観客にどういうふうに感じてほしいか、というところから考えます」。時速300キロにもなる超高速走行を体感してもらおうと、助手席から広角レンズで手持ち撮影した。「ヘルメットを装着すると、世界のすべてが消えうせて、自分一人になれる。次のコーナーや路面にヒビがないかなどを考えながらも、体は激しく揺さぶられている。レーサーが置かれる二つの状態を表現したかった」

 トロイ・ケネディ・マーティンの脚本は、エンツォの人生を1957年の約4か月に凝縮して描く。

 「その数か月に、彼の人生の色んな局面がぶつかりあった。10年スパンの物語だったら、映画を作ろうと思わなかっただろう」

 前年に愛息ディーノを病で亡くし、ビジネスパートナーでもあった妻ラウラ(ペネロペ・クルス)と、愛人との二重生活に苦しんでいた。レース中の大事故も追い打ちをかける。私生活での葛藤が、危険と隣り合わせのモータースポーツに駆り立てたのかもしれない。「子どもに先立たれるほどの悲劇はないが、夫婦は一つになって悲しみを共有できなかった面がある。ラウラは全てが終わってしまった過去を見ている。一方のエンツォは常に現在と未来を見ていた」とマン監督。

 トレードマークのサングラスに、仕立ての良いスーツ。ドライバー ふんするエンツォはビジネスマンというより、 伊達 だて男だ。「コラテラル」「マイアミ・バイス」などに通底する、マン監督が描く戦う男の美学は本作でも貫かれている。

 1991年に原作の評伝が出版された直後から、映画化を模索していた。「正しい形でなければ、今回は制作したくなかった」と時機を慎重に見極めたが、次回作はクライムアクションの大作「ヒート」の続編を予定している。加速し続ける81歳だ。

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