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高校の共学化加速、男女別学はピーク時の3分の1に…埼玉県では卒業生ら反対で存続議論

読売新聞 / 2024年6月29日 14時10分

 高校の男女共学化が進んでいる。少子化による受験生の減少やジェンダー平等意識の高まりなどが背景にあり、全国の男女別学の高校はピーク時の約50年前の3分の1に減少し、県内に別学の高校がない地域も。一方で、別学の存続を求めて地域を巻き込んだ議論も起きている。(沢井友宏)

■女子の制服披露

 8日、ラグビーやサッカーの強豪校としても知られる男子校・私立東福岡高(福岡市博多区)で開催された中学生向けの学校説明会。同高は昨年、学園創立80周年となる2025年度から共学にすると発表した。この日は共学に向けた初の説明会で、訪れた生徒の約7割が女子生徒だった。

 説明会では、女子生徒の制服が披露された。集まった女子生徒らは着用したモデルを見て、「かわいい」「着て通いたい」などと声を上げていた。

 共学化の理由について、徳野慎一郎副理事長は「コロナ禍で価値観が変化する中で、人種や性別などを超えて様々な人と協働できる人材を育てようと共学化を決断した」と説明。来春に向け、トイレの改修や更衣室の新設、校則の見直しも進める。

 福岡県内では現在、男子高が同高を含め2校。男子高のもう1校の私立中村学園三陽高も今月、系列女子高の共学化に合わせ、閉校が決まり、同県から男子高がなくなることになった。

■定員割れが続き

 文部科学省の学校基本調査によると、男女別学の高校は1975年には1180校(男子高435校、女子高745校)だったが、23年度は368校(男子高99校、女子高269校)と3分の1に減少。少子化による学校の統廃合や共学化が要因とみられる。

 九州・山口・沖縄では、大分、沖縄両県で別学の高校はなくなり、共学校のみとなっている。

 鹿児島では、男子高だった鹿児島市立鹿児島商高が今年度から、女子生徒の受け入れを始めた。少子化の影響で定員割れが続き、男子高だった23年度の入学者は定員の半分だったが、女子生徒の受け入れとともに学科再編を行った今年度は100%に達した。

 山口では、県内唯一の別学の中村女子高が25年度から一部の学科で男子を受け入れる。

■知事らに意見書

 共学化に向け、卒業生や保護者も巻き込んだ議論が起きている。

 埼玉県は県立男子高、女子高計12校を抱える。多くが旧制中学や高等女学校の流れをくむ進学校として知られる。同県で女子が男子高から入学を拒まれているとする苦情が寄せられたとして、県男女共同参画苦情処理委員が昨年8月、「共学化を早期に実現すべきだ」と県教育委員会に勧告。1年以内に対応策を示すよう求めた。県教委は、8月末までに勧告への対応を報告するという。

 一方、卒業生や保護者らは、共学化に反対する署名を開始。5月、12校の保護者代表が、保護者の6割弱から9割が共学化に反対とする意見書を知事らに提出した。一部高校の男子生徒は、県教委の担当者に「定員割れなどのやむを得ない理由もないのに、共学化されるとしたら悔しい」などの意見を伝えた。

 県では02年にも今回と同様の勧告を出された県教委が翌年、現状維持と結論づけた。

 昭和女子大現代教育研究所の友野清文特別 招聘 しょうへい研究員(ジェンダー教育学)は、99年に施行された男女共同参画社会基本法などが背景の一つとし、「学校が社会の縮図である必要はない」と指摘した上で、「選択肢として別学があることには、一定の意味がある。見直しの議論を行う際は、生徒や保護者らの声を聞きながら丁寧に対応していくことが大切だ」としている。

大学・短大でも共学化の動き

 女子大・女子短大でも共学化の動きが進む。

 鹿児島純心大(鹿児島県薩摩川内市)は2023年度から男子学生の受け入れを始め、校名もそれまでの「鹿児島純心女子大」から「女子」を削除した。佐賀女子短大(佐賀市)も今年度から一部の学科で男子学生を受け入れ、同短大は理由について、「少子化による学生の確保と、人材育成を求める社会からの要請」と話す。

 長崎市の活水女子大も今月、大村キャンパスの看護学部で25年度から男子学生を受け入れると発表した。ただ、校名変更や他の学部への男子の受け入れは検討していないという。

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