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地震で一時孤立、輪島の4地区が集団移転を検討…高齢化と過疎が進む山間からリスク低い場所へ

読売新聞 / 2024年6月30日 5時0分

約4キロ離れた国道沿いへの集団移転を希望している輪島市の別所谷町地区。地面には今も大きな亀裂が残ったままだ(6月14日)

 能登半島地震の被災地・石川県輪島市で、少なくとも4地区(計257世帯)が集団移転を検討していることがわかった。今回の被災地で計画が明らかになるのは初めて。いずれも高齢化と過疎が進む主に山あいの地区で、道路寸断などで一時孤立した。住民らは災害時に孤立するリスクの低い場所への移転を希望しており、市は実現に向け支援する方針だ。

 奥能登4市町では最大24地区が孤立し、14地区が輪島市だった。集団移転の動きが判明することで他の地区も続く可能性がある。

 集団移転を検討しているのは、山あいの門前町浦上(143世帯266人)、別所谷町(41世帯77人)、打越町(11世帯22人)と海沿いの稲舟町(62世帯119人)の計4地区。

 26集落が分散する門前町浦上は、国道に近い浦上公民館周辺に集約する形での移転を希望。別所谷町は約4キロ北の国道沿い、打越町は約2キロ南東の県道沿いを移転先として検討している。いずれも今の住居から離れすぎず、市中心部への交通の便が良い地域だ。

 打越町区長の 谷内 やち均さん(66)は「地区は高齢者が多い。最近も土砂崩れがあり、再び孤立すると危険だ」と話す。各地区は住民協議を経て全住民での移転か、希望者のみの移転かを判断する。門前町浦上と別所谷町は住民の半数近くが移転を希望している。

 同市には行政機能などを一定程度集約する「コンパクトシティー」構想があり、集団移転はそれに沿う。坂口茂市長は26日、取材に対し「コミュニティーがバラバラにならないよう、しっかり支援したい」と語った。

 奥能登では、輪島市のほか津波被害を受けた能登町白丸(95世帯192人)で、区長らが7月3日に町側と集団移転について協議する。珠洲市と穴水町では具体的な計画はないという。

 集団移転の枠組みの一つに、移転先の用地取得などの費用の4分の3を国が補助する「防災集団移転促進事業」がある。国土交通省によると、東日本大震災では約1万2500世帯が集団移転したほか、新潟県中越地震でも同県長岡市や小千谷市で行われた。

 輪島市の4地区が集団移転を検討する大きな理由は、過疎と高齢化が進んだ地区では将来的に自助、共助が困難になり、災害時に再び孤立した場合には深刻な事態が生じる恐れがあると考えたためだ。

 集団移転は長年暮らした土地を離れるという重い決断になる。移転への合意に向け、住民間の丁寧な話し合いが不可欠であることはもちろんのこと、市側は過去の事例や活用できる補助制度を示すなどしっかりと支援する必要がある。

 地区には、住民が長年守ってきた墓や神社もある。移転後も安心して通えるような仕組み作りも欠かせない。(地方部 赤沢由梨佳)

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