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24大会連続V「絶対女王」須崎優衣、海外勢の「包囲網」も歓迎…密度の濃い「金」狙う

読売新聞 / 2024年7月2日 14時24分

「パリ五輪前哨戦」として臨んだ4月のアジア選手権で、苦戦しながらも優勝した須崎優衣

[エース出陣]<3>レスリング女子50キロ級 須崎優衣 25(キッツ)

 夏のパリ五輪が開幕するまで1か月を切った。目前に迫った大舞台で、注目競技の日本のエースたちはどんな戦いを挑もうとしているのか。担当記者が紹介する。

 かつて、五輪4連覇の伊調 かおり、3連覇の吉田沙保里も鍛錬した「金メダル坂」を、先頭に立って駆け上がった。6月1日、新潟県十日町市で行われたレスリング女子日本代表の強化合宿。山あいにある名物の坂道を何度も往復した日本女子のエースは、「最後にきついところがあるのは試合に重なる。五輪だと思ってやり切った」と笑顔で振り返った。

 初出場の東京五輪で頂点に立ち、以降も無敗のままパリに乗り込む。東京金の日本女子4人のうち3人は国内選考で敗退し、パリに臨むのは須崎だけだ。ただ、王座を「守る」という意識は毛頭ない。あくまでも、「連覇を目指す挑戦者」の気持ちでいると強調する。

 王者が気を緩めないのは、東京五輪の日本代表選考で味わった苦い記憶があるからだ。国内大会で敗れ、一時は出場が絶望視されたものの、ライバルが世界選手権で五輪枠を逃したことで望みがつながった。その後のアジア予選で代表の座をつかみ、五輪チャンピオンまで駆け上がったが、当時の屈辱は相当なものだったのだろう。今でも「東京五輪の時の『悔しさ』を晴らしたい」と強調する。

 だからこそ、パリ五輪の代表争いは最速切符にこだわった。最初に内定が出る2023年世界選手権(ベオグラード)は、大会直前に膝を痛めていたにもかかわらず、強行出場で見事に優勝。揺るぎない地力を改めて世界に印象づけた。

 鋭いタックルや組み手の技術に加え、機を見て豪快な投げ技も繰り出し、弱点らしい弱点は見当たらない。懸念は、長く世界の頂点に君臨しているがゆえに進む対戦相手の「須崎対策」か。五輪前最後の実戦として臨んだ4月のアジア選手権(キルギス・ビシケク)では珍しくリードを許す場面や、守りに徹して終盤の一発逆転を狙う相手の戦略に苦戦する展開もあった。

 ただ、こうした包囲網も須崎は前向きにとらえる。「もっと進化しなければ」と自身を戒めつつも、「課題がたくさんあるということは、伸びしろも多いということ」と話す表情はどこかうれしそうだ。

 国際試合でも歓声を集め、女子レスリング界きっての実力者となった最強女王。一分の隙も見せず、圧倒的な強さで勝ち切ることで、東京五輪よりも密度の濃い「金」をつかみとる。(佐野司)

[世界のライバル]馮紫●の成長 要注意

 須崎は出場した国際大会で24大会連続優勝、外国選手との対戦で94連勝中と無類の強さを誇る。

 ライバルと呼べるような存在は見当たらないが、昨年の世界選手権銅メダルの馮紫●(中国)は要注意だ。アジア選手権決勝では、馮に第1ピリオドで先行され、危険な場面もあった。須崎は「相手にうまさもあった」と認めつつ、「自分自身に雑な部分があって失点してしまった。しっかり修正したい」と話す。(●は「王」の右に「其」)

すさき・ゆい 1999年6月30日生まれ。千葉県出身。2017、18年に世界選手権を連覇。東京五輪は女子50キロ級で1回戦から全4試合を無失点、テクニカルスペリオリティー(テクニカルフォールから改称)勝ちで頂点に立った。開会式の入場行進では旗手を務めた。22、23年の世界選手権も連覇している。

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