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自衛隊発足70年 幅広い任務こなし信頼深めよ

読売新聞 / 2024年6月30日 5時0分

 安全保障環境は極めて悪化している。自衛隊の果たすべき役割は増してきた。厳しい訓練を重ねて、日本の平和を守り、国際社会の安定に貢献してもらいたい。

 自衛隊が発足してからあすで70年となる。1946年の憲法制定当時、吉田内閣は再軍備を否定したが、50年に朝鮮戦争が勃発すると、米国の要請もあり、警察予備隊を設置した。52年の保安隊を経て54年に自衛隊が創設された。

 自衛隊は発足直後から、憲法9条2項が保持を禁じた「戦力」との関係が問われ、「憲法違反」という批判にさらされ続けた。

 転機となったのは湾岸戦争だ。日本は戦争後の91年、ペルシャ湾に海上自衛隊の掃海部隊を派遣した。自衛隊にとって初の本格的な海外任務だった。

 自衛隊はその後、カンボジアや南スーダンなどで国連平和維持活動(PKO)に参加したほか、イラク復興支援にも携わった。

 多くの派遣先で、自衛隊は規律正しい仕事ぶりを評価された。現地のニーズに沿った献身的な活動は、国際社会での日本の存在感を大きく高めたのではないか。

 一方、阪神大震災や東日本大震災などの災害時には、人命救助や被災者支援に従事してきた。

 こうした実績を積み重ねたことで、自衛隊への信頼は確実に高まっている。政府の世論調査では、自衛隊に良い印象を持つ人は、69年は69%だったが、2022年には91%に達した。

 自衛隊は、国の安全や社会の安定に欠かせない存在として広く認識されていると言えるだろう。

 ただ、今後はより幅広い任務をこなさねばならない。

 長年、憲法上は認められているが「政策判断」で保有してこなかった敵基地攻撃能力について、岸田内閣は長射程ミサイルの配備を決め、行使できるようにした。

 今、脅威は、陸海空といった従来の領域にとどまらず、サイバー空間や宇宙にも広がっている。

 政府は23年度から5年間の防衛費の総額を従来の1・6倍に増やすことを決めた。財源をどう確保していくかは重要な課題だ。サイバー防衛の体制を強化するため、通信の秘密に関する憲法解釈の整理にも取り組まねばならない。

 一方、近年では、ヘリコプターの墜落事故や自衛官による機密情報の 漏洩 ろうえい、セクハラなども相次いでおり、緩みが目立つ。

 油断すれば、築き上げてきた信用はあっという間に失われることを自衛隊は肝に銘じるべきだ。

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