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ふるさと納税 地域振興の本旨に立ち返ろう

読売新聞 / 2024年6月30日 5時0分

 自分の故郷やお世話になった自治体に寄付し、地域振興に役立ててもらおうという制度の趣旨が ないがしろにされていないか。政府は、ふるさと納税の問題点を見直す必要がある。

 ふるさと納税を行う場合、自治体の返礼品を紹介しているポータルサイトを利用するのが一般的だ。好みの返礼品を検索できるため、寄付する人にとって使い勝手が良い。自治体側にも、効率的に寄付を集められる利点がある。

 「さとふる」や「ふるなび」といった大手サイトは、利用者を呼び込むため、寄付額に応じて、買い物や商品との交換に使えるポイントを還元している。

 これに対し総務省は、ポイント還元を行っている事業会社の利用を来年10月から禁止することを決めた。自治体は現在、事業会社に手数料を支払っているが、その一部がポイントの原資になっている可能性が大きいためだ。

 ポイント還元には、事業会社が利用者を集め、自治体から受け取る手数料を増やす狙いがあるのだろうが、ふるさと納税の制度とは何ら関係がない。ポイントの原資に、自治体に本来入るはずの寄付が充てられているなら問題だ。

 総務省が、サイトによる過度なサービス合戦の是正を図るのは当然と言える。寄付額に応じた十分な収入を自治体が得られるよう、事業会社に手数料の引き下げなどを促していくことが重要だ。

 ふるさと納税は、寄付額から2000円を除いた分が住民税などから差し引かれる仕組みだ。

 2008年の制度開始以来、自治体から返礼品をもらえることが話題を呼び、寄付額は右肩上がりに増えている。22年度の寄付総額は1兆円近くに達し、年間の利用者は約900万人に上った。

 だが、利用の拡大とともに様々な弊害が出ている。

 過去には、一部自治体が高額な家電製品などを提供し、返礼品競争が過熱した。このため、返礼品は寄付額の3割以下の地場産品に限るルールが導入された。

 すると、最近は、自治体と契約して返礼品を提供する業者が、肉や魚の産地を偽装する不正が相次ぐようになった。返礼品のルールを守らない自治体もある。

 ブランド牛やカニなど名産品のある自治体に寄付が偏る傾向も続いている。有名な特産品のない都市部の自治体は、税収の他の自治体への流出に悩まされている。

 問題点を一つひとつ改善し、寄付する人も自治体も節度を持って運用していくことが大切だ。

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