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BYDは長澤まさみ、OPPOは指原莉乃...日本のタレント起用相次ぐ 日本市場参入の中国企業に見るCM事情

J-CASTニュース / 2024年6月29日 11時0分

BYDは長澤まさみ、OPPOは指原莉乃...日本のタレント起用相次ぐ 日本市場参入の中国企業に見るCM事情

BYDは長澤まさみをCMに起用する(BYDジャパンのプレスリリースより)

中国EV大手のBYDが2024年6月25日、日本で3車種目となるスポーツセダンEV「BYD SEAL(ビーワイディー シール)」を発売した。

ガソリン車のシェアが高く、EVの普及が進まない日本市場で認知を広げるため、同社は女優の長澤まさみを起用したCMを放映し、安全性能の高さをアピールしている。

日本市場に参入した中国企業は、宣伝にどういったタレントを起用しているのか調べてみた。

長澤まさみが「ありかも、BYD」

BYDは23年1月に日本の乗用車市場に参入し、SUVEV「ATTO3(アットスリー)」、コンパクトEV「ドルフィン」を販売する。25日に発売したシールは、テスラのモデル3をベンチマークにしたスポーツセダンEVで、性能、価格ともにモデル3と正面から競合する。

22年前半にガソリン車の生産を終了し、EVやPHV(プラグインハイブリッド)など新エネルギー車にリソースを「全振り」したBYD。同社は、23年の年間販売台数が前年比62.3%増の302万4417台に達し、日産自動車(337万4271台)に迫る。輸出台数も大きく伸び、販売エリアは70カ国超に拡大した。

自動車業界で台風の目になっているBYDだが、ガソリン車と日本車が圧倒的に強い日本での乗用車販売は当初から苦戦が予想されていた。

そこで同社は今年4月、認知度向上のため女優の長澤まさみを起用したCMの放映を始めた。

CMは長澤まさみが発する「ありかも、BYD」というキャッチコピーに象徴されるように、「BYDはない」と考えている消費者が多いという現状認識に立ち、EVの魅力と安全性の高さを訴求している。

OPPOは指原莉乃

他の中国企業もみてみよう。

18年に日本市場に参入したスマートフォンメーカーOPPOは、19年から21年にかけて、新機種のイメージキャラクターにタレントの指原莉乃を起用した。指原莉乃はCMやポスターだけでなく、新製品発表会にも登壇し製品をアピールしていた。

BYDとOPPOの例から、中国ブランドが日本に進出して間もない時期は、幅広い世代に知られ好感度の高いタレントを起用し、ブランドの顔になってもらう戦略を取っていることが分かる。が

家電メーカーは旬の若手俳優

2011年に日本市場に参入した家電メーカー大手のハイセンスは今年(24年)、日本市場のテレビ商品の新アンバサダーに俳優の横浜流星を起用した。

大画面、高画質を前面に出す同社は、横浜流星を起用した理由に「俳優として常に『高品質』な演技を追求し続ける」点を挙げた。

一方ハイセンスグループ傘下の「REGZA(レグザ)」は6月20日、新ブランドアンバサダーに起用したSnow Manの 目黒蓮と新商品のお披露目を行った。

ハイセンス、レグザはいずれも勢いがある旬の男性タレントを選んだという点で共通している。

ハイセンスの昨年までのブランドアンバサダーは綾野剛、レグザは小栗旬で、男性の二枚目タレントという路線は変わらないが、新製品が「AI搭載」や「スマートフォンと連携」を売りにしているからか、年齢はかなり若返っている。

プロ野球で日本人にアピール

日本市場での認知度を高めるために、プロ野球も活用されている。

ハイセンスジャパンは23年、横浜DaNAベイスターズのユニフォームスポンサーに就いた。

サッカー人気が高い中国では、大手企業はサッカーの国際大会や欧州の強豪チームとスポンサー契約を結んで宣伝に活用することが多い。

特にワールドカップのような大会は世界中のサッカーファンが視聴するため、グローバルでの宣伝効果も抜群だと考えられている。最近では中国企業のマーケティングの担当者から「サッカー欧州選手権に絡めたキャンペーンを実施する」という話をよく聞く。

ハイセンスも例に漏れず、というより同社はサッカーW杯で18年のロシア大会、22年のカタール大会とスポンサーを務めるサッカーマーケティングの筆頭格と言える企業だ。

だが、日本では野球人気の方が高いとみて、以前からプロ野球のスポンサーになる機会を探してきたという。ハイセンスジャパンの李文麗社長はJ-CASTニュースBizの以前のインタビューで、「ピッチャーマウンドの広告やイニング間にファンとオフィシャルパフォーマンスチーム『diana』がリレー対決するイベント『ハマスタバトル』など、ベイスターズから提案いただいた施策が話題になり、スポンサー初年度に協賛認知度19%を達成できました」と効果を語っている。

ショート動画アプリTikTokなどを運営するバイトダンスのビジネスプラットフォーム「Lark(ラーク)」は23年1月、ヤクルトスワローズの村上宗隆選手をブランドアンバサダーに起用したと発表した。

村上選手は22年シーズン、日本人最多となるシーズン56本のホームランを記録、史上最年少で令和初の三冠王にも輝き、流行語『村神様』も生まれた。認知度を上げたい企業にとって、これ以上ない人選と言っていいだろう。

Larkは23年1月1、2日、村上選手のアンバサダー就任を報じる「号外」を渋谷駅、浅草駅など首都圏5カ所で配布する力の入れようだった。

我が道行く企業も

我が道を行く中国企業もある。

23年夏に都内に日本1号店をオープンした「Cotti Coffee」は、中国で22年に創業後、破竹の勢いで成長しているカフェチェーンだ。サッカーアルゼンチン代表のスポンサーを務める同社は、日本の店舗にもメッシをはじめとした選手の写真が並ぶ掲示物をでかでかと飾っている。

日本事業の担当者も「日本ではちょっと違和感ありますよね」と苦笑いするが、カフェチェーンにそぐわないいかつい選手たちのインパクトは、ある意味認知の低さを補って余りある気もする。(浦上早苗)



【筆者プロフィール】
浦上 早苗(うらがみ・さなえ):経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員。福岡市出身。新聞記者、中国に国費博士留学、中国での大学教員を経て現職。近著に「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。

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