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上海の伊勢丹が営業終了、中国で日系百貨店の閉店相次ぐ…高島屋は売上高が減少傾向

読売新聞 / 2024年6月30日 20時56分

閉店時刻を過ぎても多くの客が訪れた伊勢丹の店舗(30日、上海市で)=山下福太郎撮影

 【上海=山下福太郎】中国で日系百貨店の閉店が相次いでいる。上海市の伊勢丹は30日に最後の営業を終え、中国本土の伊勢丹はピーク時の6店舗から1店舗に減った。ネット通販の拡大や不動産不況に伴う消費不振が背景にあり、百貨店事業の苦境が浮き彫りになっている。

 「本日が上海伊勢丹の最後の営業日です。長年のご愛顧に深く感謝します」

 上海市中心部の「上海梅龍鎮伊勢丹」で30日夜、店舗の責任者が閉店のあいさつを行った。店舗前に並んだスタッフらとともに深々と一礼すると、詰めかけた数百人から大きな拍手がわいた。

 この日、同店は午後6時の閉店時刻を過ぎても、名残を惜しむ来店客でごった返した。夫と最後の買い物を楽しんだという地元の女性(52)は「学生時代から数え切れないくらい買い物に来た思い出の場所。日本製品が充実していただけに残念です」と話した。

 伊勢丹が中国1号店を上海に出店したのは1993年。梅龍鎮の店舗は97年に上海の2か所目として開業した。売上高は2014年度の119億円をピークに減少傾向となり、23年度は52億円に落ち込んだ。

 伊勢丹は中国で最大で6店舗を構えたが、22年末に成都市の2店舗、今年4月には天津市の2店舗を閉じた。今回の閉店で中国には3年前に開業した天津の店舗が残るのみとなる。

 滋賀県彦根市を地盤とする平和堂も中国で百貨店事業を展開しており、1998年に湖南省に出店して以降、一時は同省内に4店舗を構えた。だが昨年6月に不採算店を閉店するなど、現在は1店舗まで削減。大手百貨店では高島屋が上海で営業しているものの、売上高は減少傾向で苦戦が続いている。

 背景にはネット通販の拡大がある。2023年には中国国内の消費財販売に占めるネット通販の割合が4分の1に達した。「家賃などの出店コストが必要ない分、同じ商品を大幅に安く売って百貨店から客を引き寄せた」(中国メディア)との指摘がある。

 不動産価格の下落も大きい。主要顧客である富裕層や中間層の資産が目減りし、稼ぎ頭の化粧品や宝飾品といった高額品の販売が影響を受けた。昨年8月に東京電力福島第一原発の処理水が放出されて以降、日系ブランドが敬遠されたことも追い打ちとなった。

 不振は日系百貨店に限らない。上海では今年2月、伊勢丹から数キロ離れたビジネス街にある百貨店「上海六百」が閉店。1952年創業の老舗だが、構造変化の波にはあらがえなかった。

 中国メディア・第一財経は、百貨店の閉店は2022年に35店舗、23年は21店舗に上ったとする統計を報じている。今年も3月までに日系百貨店を含め10店舗が営業を終えたという。

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