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英与党、総選挙敗北必至…経済振興・移民対策に失望感「ブレグジット果たしても良くなっていない」

読売新聞 / 2024年7月1日 7時46分

 7月4日投開票の英総選挙で与党・保守党の敗北が必至な情勢だ。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)に賛同し、経済振興や移民対策を期待した保守党支持者の間で失望感が広がっていることが背景にある。(英イングランド北部ハートリプール 蒔田一彦、写真も)

不在

 北海に面する港町ハートリプールの中心部にある教会で27日夜、総選挙の候補者による討論会が開かれた。しかし、再選を目指す保守党のジル・モーティマー候補の姿はなかった。主催者によると「安全上の懸念」を理由に欠席を伝えてきたという。聴衆の元エンジニアのマイク・ハードさん(65)は「勝てないと気付いているのだろう」と皮肉った。

 討論会では、世論調査で優勢に立つ労働党のジョナサン・ブラッシュ候補が約100人の聴衆から拍手を浴びていた。ブラッシュ氏は「今年だけで1万4000軒のドアをたたき、市民との会話を重ねてきた。議員に選ばれたら社会の不正義と闘う」とアピールした。聴衆から社会福祉、移民問題、気候変動対策などの質問を受け、舌戦は予定を超えて約2時間続いた。

変容

 かつて造船業や鉄鋼業が盛んだったハートリプールは労働組合の力が強く、伝統的に労働党の地盤だった。製造業の衰退や外国からの労働者流入などで地域社会は変容し、住民は現状への不満を高めた。2016年のブレグジットの是非を問う国民投票では離脱賛成が約7割に上った。19年の総選挙では労働党が辛うじて議席を守ったものの、21年の補欠選挙で保守党のモーティマー氏が大差で勝利した。英BBCによると1974年に作られたハートリプール選挙区で労働党が敗れたのは初めてだった。

 保守党は当時のボリス・ジョンソン首相の人気を受けて19年の総選挙で労働党の地盤を次々と崩し、ハートリプールの補選も制した。今回の総選挙ではこうした地域で軒並み議席を失う公算が大きい。ブレグジットを支持し、補選で保守党に投票した無職のデビッド・ガルブレイスさん(69)は「移民は増え続け、ブレグジットを果たしても何も良くなっていない。ガッカリだ。もう保守党には投票しない」と話した。

怒り

 ハートリプールの駅前通りは廃虚となったビルや空き店舗が目立つ。ここに1640万ポンド(約33億円)を投じて映画・テレビ産業を誘致する計画がある。保守党政権が打ち出した地域振興策の一環だが政府の説明通りの雇用や経済効果を生むと信じる住民は少ない。駅近くに住む元銀行員のゴードン・バロウズさん(65)は「住民が望むところに資金が投じられているとは思えない」と疑問を呈する。長年保守党を支持してきたが、今回はブレグジットを推進したEU離脱党を前身とする改革党に投票するという。「保守党政権に怒りを感じる。抗議の1票だ」と語った。英メディアの得票率予測によるとハートリプールで保守党は改革党を下回っている。

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