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避難者を炊き出しで支えた輪島のシェフ、次は「仕事失った人に雇用の場を」…仲間と新店開業へ

読売新聞 / 2024年7月1日 14時12分

味見して笑顔を見せる池端さん(左から2人目)(6月20日、石川県輪島市で)

 能登半島地震から1日で半年を迎える。この間、大きな被害が出た石川県輪島市で、被災した住民を食で支えようと、市内のフランス料理店のシェフ池端隼也さん(44)は仲間と炊き出しや避難所への弁当の配達を続けてきた。避難所で生活する人はこの半年で減っており、1日から炊き出しは一時休み、 生業 なりわいの再建に かじを切り、仕事を失った人を雇用できる新店開業に向けて動き出すという。(中村樹嶺)

 同市マリンタウンの廃業した居酒屋の店内に6月20日、全国からの支援で届いた野菜や魚などが使われた弁当がずらりと並んだ。味見した池端さんらは「これはきっと喜んでくれる」と目を細めた。

 池端さんの店は地震で全壊した。それでも崩れた街並みを見て「何かできることはないか」と、発生直後から市内の仲間らに声をかけ始めた。それぞれが再建のめどが立たない中、漁師やみそ店、輪島塗関係者など様々な業種が集まり、6月末まで炊き出しや弁当を提供する活動を続けた。

 当初は、被災したメンバーの店舗の冷蔵庫から食材を引っ張り出し、地元のガス店が分けてくれたプロパンガスを使って避難所などに温かい食事を届けた。住民からは「皆さんも大変なときに本当にありがとう」などと涙ながらに感謝された。

 復興に向け仮設住宅の建設なども進み、避難所の利用者は減ってきた。一時は毎日約1800食分を作っていた炊き出しも、1日50食程度で足りるようになった。20人ほどいた仲間も仕事を見つけた人が去り、13人になった。

 それでも、炊き出しを続ける仲間の中に仕事を再開できていない人が居る。池端さんは「次は生業の再建などが大事になる」と考え、新しい飲食店を開業し、炊き出しのメンバーらを雇用することを考案。提案すると仲間たちも快諾した。

 メンバーの一人、田井太也さん(30)は漁師だが、漁再開の見通しがたたない。「街を出てしまう漁師もいるが活動のおかげでやりがいを持てている。いつか自分の取った魚を店で出すのが目標だ」と話した。

 池端さんは6月中旬に、空き店舗を購入。建物の修繕や調理器具などにかかる費用をクラウドファンディングで調達すると、10日間で340万円が集まった。

 「復興の芽吹きになれば」との思いを込め、店名は「mebuki―芽吹―」にした。池端さんは「食べに来た住民を元気づける店にしたい」と力を込めた。

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