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国会議員の所得公開「提出時点までに辞職」として谷川弥一氏と柿沢未途氏は提出せず…「抜け道」浮上

読売新聞 / 2024年7月1日 19時55分

国会議事堂

 「政治とカネ」に厳しい目が注がれる中、1日に公開された国会議員の所得や資産などの報告書。国民が政治家の懐事情をチェックするのに不可欠な資料だが、疑惑が発覚した議員が「提出時点までに辞職していた」との理由で公開対象から外れるなど、「抜け道」が改めて浮かび上がっている。

「4月1日」

 今回、年間所得や預金額などが公開された国会議員の中に、自民党派閥の政治資金規正法違反事件で略式起訴された谷川弥一・前衆院議員(82)(有罪確定)、東京都江東区長選を巡る公職選挙法違反事件で起訴された柿沢未途・前衆院議員(53)(同)の名前はなかった。

 国会議員資産公開法では、所得などの報告を求める対象を「前年1年間を通じて国会議員であった者」などと規定している。谷川氏が議員辞職したのは略式起訴後の今年1月、柿沢氏も2月で、いずれも昨年1年間は議員を務めていた。

 ところが、衆院事務局議員課では両氏が「報告書提出開始日の4月1日の時点で現職国会議員ではない」として、提出する必要はないと説明。政治とカネの疑惑が浮上していても、3月までに議員辞職すれば前年1年間の所得や資産の状況はブラックボックスのまま、ということになる。

 一方、洋上風力発電事業を巡る汚職事件で起訴された秋本真利・衆院議員(48)は、1日現在も現職だが、報告書は公開されなかった。秋本議員の事務所に電話で取材を申し込んだが、1日までに回答はなかった。

罰則規定なし

 資産報告のうち、預金額の公開対象には、流動性の高い普通預金や当座預金のほか、家族名義の預金も含まれていない。証明書類の添付義務もなく、衆参の事務局は形式上の不備を点検するのみで、記載内容に虚偽があった場合でも罰則はない。

 同法は、議員の所得や資産などを公開する目的について「国民の不断の監視と批判のもとにおくため」としており、報告書はその「基礎資料」のはずだが、現状では議員側からも「形骸化」を指摘する声が出ている。ある与党議員は「資産をごまかしている議員がいてもわからないと思う。報告の事務作業には手間が多くかかるし、何のために公開するのか改めて議論すべきではないか」と話した。

岩井奉信・日大名誉教授(政治学)の話「政治資金だけでなく、所得や資産なども公開対象が曖昧で透明性に課題が残ったままだ。国民は、公開制度のあり方について、常に監視する必要がある」

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