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「紅麹」サプリ 調査体制の立て直しを急げ

読売新聞 / 2024年7月2日 5時0分

 人の命にかかわる問題だという危機意識を欠いていると言わざるを得ない。小林製薬は調査の体制を早急に見直し、国と連携して健康被害の実態解明を急がねばならない。

 小林製薬の「 紅麹 べにこうじ」サプリメントを飲んだ人に健康被害が相次いでいる問題で、サプリの摂取によって死亡した疑いのある人が、新たに76人いることが判明した。現在、因果関係を調査中という。

 小林製薬は3月に「死亡例は5人」と発表していたが、最近、厚生労働省が会社に問い合わせたところ、76人の遺族から相談を受けていることが分かった。被害の急拡大につながりかねず、厚労省が衝撃を受けたのも無理はない。

 報告の遅れについて、小林製薬は「確認が終わっていないため」と説明している。1月に健康被害を把握した当初も、国への報告に2か月もかかり、迅速な報告を求められたばかりだった。なぜ同じ過ちを繰り返すのか。

 今回、先に公表した5人の死者のうち、1人にはサプリの摂取歴がないことも明らかになった。小林製薬の調査の信頼性を揺るがす事態だ。被害者は一体、何人いるのか。会社だけで調査を進めるのはもはや限界だろう。

 新たに判明した76人の事例について、小林製薬は、調査の進め方や、医療機関からの情報収集の計画を厚労省に提出した。

 今回の報告の遅れは、厚労省にも意思疎通の不足があったのではないか。今後は、調査やその結果の分析を会社任せにせず、積極的に関与する姿勢が求められる。

 必要なら、外部の専門家を調査に加えることも検討すべきだ。

 問題のサプリを巡っては、摂取した人に腎臓病の発症が相次いでいる。原料からは、青カビ由来の有害物質「プベルル酸」などの化合物が複数検出されている。

 プベルル酸が腎障害を引き起こすことも確認された。しかし、死亡との因果関係など、詳細はまだ十分に解明されていない。

 日本腎臓学会は、サプリを摂取した患者約100人のうち8割を超える人が、治療を続けても腎機能が回復していないと発表した。被害は深刻で、小林製薬は治療費などの補償も急ぐ必要がある。

 被害の訴えは、海外にも広がっている。台湾では、体調不良を訴えた約30人が、小林製薬の子会社を相手取り、損害賠償を求める集団訴訟を起こすという。

 事態は混迷を深めている。収拾するには、まずは迅速で的確な情報の公開が欠かせない。

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