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千葉県PTA協議会、全国組織を年度末に退会へ…「不透明な会計処理あり苦渋の決断」

読売新聞 / 2024年7月2日 9時23分

 千葉県内のPTA組織でつくる県PTA連絡協議会(県P)が、上部団体の日本PTA全国協議会(日P)を今年度末で退会する方向で調整に入った。日Pから赤字運営に関する明確な説明が得られず、日Pの活動が会費に見合わないと判断したためだ。日Pを巡っては傘下団体の退会が相次いでおり、あり方が問われている。(鳥塚新、猪塚さやか)

 県P関係者によると、6月1日に開かれた県Pの総会で、日Pから脱退する方針が示された。参加者から反対意見はなく、年内にも理事会で正式決定する予定だという。

 県Pは児童・生徒1人あたり年間10円の会費を集め、日Pに納めている。約30万人の会員を抱える県Pが納付する年会費は300万円以上になる。

 問題の発端は、日Pが2022年度決算で計上した4700万円の赤字に始まる。原因を究明しようとした会長が、再任1か月で解任された。県Pなどによる関東地方のPTA協議会は、新執行部に赤字の経緯を説明するよう求めてきたが、日P側から十分な回答は得られていない。23年度決算でも2900万円の赤字が判明した。

 日Pは全国組織として、政府や関係機関に現場の課題や要望を伝える役割を担っている。21年に八街市で児童5人が死傷した飲酒運転事故を受けて、通学路の安全確保を求める緊急の要望書を文部科学省などに提出している。

 しかし、最近では要望活動も低調だ。県Pの関係者は「ガバナンスが機能しておらず、不透明な会計処理がある。全国の意見が活動に反映されているとは言いがたい。苦渋の決断だが、退会はやむを得ない」と語る。

 県Pは関東地方のPTA協議会と連携を深め、県の枠組みを超えた広域的な活動を維持したい考えだ。

 ◆PTA=「Parent Teacher Association」の略称。児童・生徒の保護者と教職員でつくる各学校の任意団体で、学校行事の運営サポートなどを担う。戦後、民主教育の普及を目的に全国に広がった。市区町村や都道府県などの枠組みで協働する協議会が組織されている。全国レベルでは、日本PTA全国協議会が結成されており、傘下の会員数は約750万人に上る。

昨年度末に千葉市でも 各地で動き広がる

 日Pでは近年、東京都小学校PTA協議会など各地の団体で退会の動きが広がっている。

 千葉市PTA連絡協議会(市P連)は、3月末で日Pを退会した。日Pの赤字について十分な説明が得られなかったことに加え、日Pに加入していることで生じる業務や費用を市P連の活動に充てるためだと説明している。

 市P連そのものも、保護者や教職員など会員数の減少が課題となっている。22年度に約3万9000人だった会員数は23年度に約3万7000人となり、2000人近く減った。美浜区で市P連に加入しているのは2校だけだが、いずれも24年度に退会する意向を示しているという。

 三橋和夫事務局長は「PTAは子ども、学校、地域のために活躍できる人が育つ場だ。組織を維持するためにも、今は市P連の活動に力を入れたい」と話している。

公立校のPTA1216団体 23年3月末時点

 千葉県教育委員会によると、県内の県立学校と市町村立学校でのPTAは、2023年3月31日現在で1216団体だ。前年度から17団体減少した。

 6月24日の県議会では、自民党の野田宏規県議がPTAが解散した場合の課題を取り上げた。冨塚昌子教育長は「学校、家庭、地域がどのように連携していくかが課題になる」との認識を示した。

 県教委は、保護者や地域住民らが学校運営に加わる「学校運営協議会」の設置を促している。地域と一体となって学校運営に取り組む仕組みの維持に努める方針だ。

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