能登地震で「近所付き合い減」6割超、それでも「地元に住みたい」8割…被災者アンケート
読売新聞 / 2024年7月2日 12時30分
読売新聞が能登半島地震の被災者96人に聞いたアンケート調査では、地震前と比べて近所付き合いが「減った」「なくなった」との回答が6割を超えた。避難生活や移転を強いられ、地域のつながりが希薄になっている。一方、地元に住みたいと回答した人は8割超と、発生1か月の時点と変わらず、被災者は復旧が進まない現状に、焦りや不安を募らせている。
心身不調者増
地震前後の近所付き合いの変化を聞いたところ、「ほとんどなくなった」が22人、「まったくなくなった」が3人で、「続いているが程度が減った」(35人)も含めると6割を超えた。
石川県珠洲市の男性(75)は「ほとんどなくなった」と回答した。仮設住宅に知り合いは少なく、時折、片付けで戻る自宅の周囲に人けはない。「家屋の公費解体が進めば、地域からさらに人が減るのではないか」と心配する。
県内では、最大3万人超いた避難者はホテルなどの2次避難所も含めて約2000人まで減少したが、応急仮設住宅や民間アパートなどの「みなし仮設住宅」に移った人もいて、住民は散り散りとなっている。
調査では、避難生活の長期化などが心身に影響を及ぼしている実態も明らかになった。被災後の心身の健康状態について「不調がある」と答えた人は32人で、発生1か月の時点(15人)から2倍に増えた。精神的な不安やストレスによる不眠、孤独感の訴えが目立つ。
「見通し立たず」
自宅の被災状況は、全壊17人、大規模半壊8人、中規模半壊5人、半壊15人、準半壊24人、一部損壊25人など。損壊した自宅で生活を続けている被災者もいた。
今後住みたい場所は、72人が「被災前と同じ場所」、11人が「被災前と同じ自治体」と回答し、合わせて8割を超えた。前回調査の時点では計79人で、ほぼ同じ割合だった。理由としては「住み慣れた地域や人に愛着がある」が7割を占めた。
自宅を兼ねた旅館が半壊し、仮設住宅で暮らす輪島市の男性(83)は「被災前と同じ場所」と答えたが、迷いもある。生まれ故郷の港町に愛着はあるが、港は隆起し、市中心部へ向かう県道はのり面が崩れたまま。「行政は元に戻すつもりがあるのかと勘ぐってしまう。先の見通しが立たないと、つらい」と打ち明けた。
関西学院大の石田祐教授(災害復興)は「幅広い世代の声を聞きながら復興計画の策定を急ぐことが重要だ」と指摘。コミュニティーの再生に向け、「民間団体の活動機会が増えるよう、行政が金銭的な支援を行うのも一案だ」としている。
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