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TSMC進出の熊本県菊陽町、路線価24%増で全国2位…借地料上がって閉店する店主も

読売新聞 / 2024年7月2日 10時26分

TSMC第1工場(左)に隣接する第2工場の建設予定地(右)(2月17日、熊本県菊陽町で、読売機から)=秋月正樹撮影

 熊本国税局は1日、2024年分の熊本県内の路線価(1月1日時点)を発表した。県全体の平均変動率は前年比プラス2・7%で7年連続で上昇し、上昇幅は比較できる10年以降で最大となった。

 県内10税務署で最高路線価が上昇したのは、菊陽町光の森3の「県道住吉熊本線」を含む4署。菊陽町の上昇率は24%で、昨年に続き全国2位だった。

 調査に携わった石山博・不動産鑑定士は、台湾積体電路製造(TSMC)の工場建設に伴う半導体関連企業の進出が要因として、「事務所やホテルなど多用途で用地の需要が高まっている」と分析した。

 県内最高価格となった熊本市中央区手取本町の「下通りアーケード」は、4年ぶりに上昇に転じた。石山氏は、昨年5月から新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に移行したことで、「人流が回復して空き店舗が減り、(都市型ホテルの)『 OMO おも5熊本』開業といった要因が重なった」と話した。

 下落したのは、人吉市九日町の「九日町通り」と天草市南新町の「国道324号」だった。人吉市は九州豪雨以降、4年連続の下落で、「更地が残っていて影響を 払拭 ふっしょくできていない」とした。

価格急騰、老舗店舗に影響

 「工場周辺の住宅需要はまだまだ高い。連日のように問い合わせが来ている」。税務署ごとの最高路線価で、上昇率が全国2位となった菊陽町でのマンション需要の高まりについて、県内を中心に不動産事業を展開する「アズマシティ開発」の東伸彦社長(42)が語った。

 台湾積体電路製造(TSMC)が菊陽町の第1工場の隣接地に第2工場を建設する方針を明らかにしたのは4月。その前から、近隣での建設を見込む半導体関連企業などから社宅用マンションの相談が相次いでいたという。4月から中国人スタッフ1人を雇って対応している。

 5年ほど前に町内に店を構えた際、土地の購入価格は1坪(3・3平方メートル)あたり18万円だったが、最近は近くの土地が約6倍の高値で売り出されているという。来年にかけて同町や周辺の大津町、合志市で計約1000戸の賃貸マンションの新築を計画中で、東社長は「価格が上がりすぎて、スムーズに建築が進むか警戒感はある」と漏らした。

 価格急騰は老舗店舗などに影響を与えている。菊陽町で青果店を営んでいた森田賢一さん(53)は昨年3月、土地所有者から借地料の値上げを告げられ、20年以上前から親しまれていた店を同9月末で閉じた。跡地にはマンションが建設中だという。

 その後、熊本市東区の温浴施設の支援を受け、昨年12月から施設の敷地内で店を再開した。急激な町の変化に「今までのコミュニティーが変わってしまって残念」と寂しさをにじませた。

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