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ススキノ切断遺体、精神科医の父「通報は娘を裏切る気がした」…瑠奈被告の動機は「聞いていない」

読売新聞 / 2024年7月2日 10時45分

 札幌・ススキノのホテルで頭部を切断された遺体が見つかった事件を巡り、死体遺棄と死体損壊の各ほう助罪に問われた田村浩子被告(61)の第2回公判が1日、札幌地裁で開かれ、夫で精神科医の修被告(60)(殺人ほう助罪などで起訴)が証人出廷した。被害者の男性(当時62歳)を刺殺後に頭部の損壊を重ねたという娘の 瑠奈 るな被告(30)(殺人罪などで起訴)について、修被告は「取り返しのつかないことをした」と謝罪。ただ、瑠奈被告の動機は「聞いていない」と述べた。(高田悠介、岡絃哉)

◆「申し訳ない気持ち」

 午後3時半、刑務官に付き添われて修被告が805号法廷に入ってきた。

 弁護人の隣に座る浩子被告とは、昨年7月24日に逮捕されて以来の再会となる。だが、2人は目を合わせず、言葉を交わすこともできなかった。

 浩子被告は6月4日の初公判後に保釈されたが、口裏合わせなどを防ぐため、夫や娘との意思疎通を禁じられている。背筋を伸ばして証言台の前に座る夫の姿を見つめ、妻はハンカチで涙をぬぐい続けた。

 この日で男性が殺害されてから1年がたった。証人尋問の前には検察官が遺族の供述調書を朗読。男性の妻は「良い夫、良い父親でした。なぜ殺されなければならなかったのか」と嘆き、道警に遺体の身元確認を求められた際のやり取りをこう説明していた。

 「私は『顔を見れば分かります』と言ったのですが、刑事さんは『頭がないのです』と……」

 尋問の冒頭で弁護人に遺族への思いを問われた修被告は、5秒ほど沈黙してから「言葉では言い尽くせない。取り返しのつかないことになり、申し訳ない気持ちです」と述べた。

◆自ら「瑠奈は死んだ」

 修被告の証言などによると、瑠奈被告は18〜19歳の頃から自殺未遂を繰り返し、「瑠奈は死んだ」として自らを「シンシア」などと名乗るようになった。

 精神科医としての修被告の判断は「妄想を否定することはしない」。瑠奈被告の精神面の安定を図るため、希望はできるだけかなえるようにしていたが、「本人の命に関わることや他人に迷惑がかかる行為は断っていた」という。

 一方、修被告は事件現場のホテルへは自身が送迎し、7月2〜3日には娘が殺人を犯した可能性に気づいていたことも認めた。

 瑠奈被告に事実を確認しなかった理由を問う弁護人。修被告は「とんでもないことで言葉を失いました。ただ、『シンシア』にとって我々は他人です。問いかけは通用しないと思った」と回答した。警察に通報しなかったのは「私の手で警察に突き出すのは、娘を裏切るような気がしたから」だったという。

 次回期日は8月30日。引き続き修被告の証人尋問が行われる予定だ。

 また、検察側は「頭部の隠匿と損壊を容易にした(ほう助した)」という浩子被告の起訴事実とは関係の薄い「殺害」の場面も立証する方針を示し、道警の捜査員ら24人の証人尋問を請求している。採否は今後の協議で決定するという。

◆傍聴席求め594人列

 修被告が公の法廷で発言するのは、札幌簡裁で昨年9月に開かれた鑑定留置に関する手続き以来だった。事件の「核心」を知り得る人物だけに尋問への関心は高く、札幌地裁ではこの日、48席の一般傍聴席を求めて594人が列を作った。

 6月4日の初公判の傍聴希望者は、50席に対して357人だった。

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