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能登伝統「キリコ祭り」、開催危ぶまれたが…みこし制作者「祭りは魂や」

読売新聞 / 2024年7月2日 15時0分

 巨大な灯籠が巡行する石川県能登地方の伝統文化「キリコ祭り」が、5、6日に開催される能登町 宇出津 うしつ地区の「あばれ祭」を先頭に各地で行われる。能登半島地震の被災地で中止を余儀なくされた祭りもある中、あばれ祭は、参加団体を減らして準備を整えた。人口減少が進む地域で、住民たちは祭りの継続が復興に直結するとして、知恵を絞っている。

 キリコは住民が担いで練り歩く巨大な灯籠。県によると、県内では主要な29の祭りを含む大小約200のキリコ祭りがある。被災状況などによって開催の判断は分かれる。

 七尾市の漁師町で行われる 石崎 いっさき 奉燈 ほうとう祭は、倒壊家屋の撤去状況などを理由に、キリコの巡行範囲を狭めて実施する。輪島市の名舟大祭は、会場となる広場の損傷もあり、神事のみにする予定だ。

 一方、津波で甚大な被害を受けた珠洲市宝立地区の「宝立七夕キリコ祭り」は中止が決まった。津波でキリコ5基が流された上、担ぎ手となる若者の多くが地区外に避難しているのが理由という。

 実行委員長の越後英明さん(63)は「来年以降は開催できるよう、関係者と話し合いたい」と話す。

 県は地域の再建や復興につなげようと、被災地域の祭りの準備経費や開催経費などを3年間で最大150万円助成することを決めた。

 馳浩知事は「祭りは能登の人たちにとって特別な行事。再開は復興の鍵を握る」と強調する。

 例年約4万人が集まる能登を代表する祭りとして知られるあばれ祭は、3月下旬に開催が決まった。宇出津祭礼委員会によると、液状化や道路の亀裂などが激しく、避難者も多かったが、「今年もやらなければ、来年以降の開催も危ぶまれる」と判断した。

 祭りは、高さ約6メートルの灯籠キリコが巡行し、夜には巨大なたいまつの火の粉を浴びながら練り歩く。みこしを道路にたたきつけたり、川に投げ込んだりという豪快な行事だ。みこしの壊れ方が激しいほど盛り上がった証しだといい、祭りの名の由来にもなっている。

 みこしの制作を35年以上手がけてきた建築業小又秀夫さん(80)は、「開催は賛否あったが、祭りを機に前を向ける人はおる。あばれ祭は宇出津の魂や」と意気込む。

 ただ、キリコは宇出津地区36町会がそれぞれ出すのが通例だが、担ぎ手が地震で減少、4町会が参加を断念した。参加を決めたが、担ぎ手が足りるか当日まで不透明な町会もある。

 祭礼委は、今回を「住民のための祭り」と位置づけた。復興工事が続く同地区では、宿泊施設や駐車場が確保できず、観光客を迎えるのは困難なためだ。

 祭礼委の新谷俊英委員長(70)は「復興への道のりはまだまだ遠いが、祭りがその象徴となるよう全力で盛り上げたい」と訴える。

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